河村哲二著『パックス・アメリカーナの形成 -アメリカ「戦時経済システム」の分析』(1995)メモ

戦後アメリカの資本蓄積体制の基本構造は、通説のように1930年代のニュー・ディール期に確立されたものではなく、第二次大戦期の戦時経済と、その戦後再転換過程を通じてはじめて与えられたものである。すなわち、第二次大戦期のもとで生じた企業システムや労使関係、国家の役割の転換など、経済組織や制度に生じた大きな構造変化が、戦後の「持続的成長」を準備したのである。本書は、膨大な一次資料をもとに、生産統制、価格統制、産業動員や労使関係など戦時経済システムを分析することにより、「パックス・アメリカーナ」の形成・確立過程を明らかにする。

序章 第二次大戦期戦時経済の歴史的位置―「戦時高蓄積」と戦後の「持続的成長」
第1章 戦時の経済拡張とその基本枠組み
第2章 戦時行政機構と戦時生産体制の確立
第3章 戦時生産統制・生産管理
第4章 戦時労使関係―労働力の供給問題と労使関係の安定化メカニズム
第5章 価格統制―プライス・メカニズムの抑制
第6章 戦後再転換過程
第7章 戦後企業体制と資本蓄積の枠組み―戦後の「持続的成長」の基本支柱と「パックス・アメリカーナ」の経済体制の確立