フリオ・コルタサル 著, 土岐恒二訳『石蹴り遊び』(1963=2016)

石蹴り遊び (フィクションの楽しみ)

石蹴り遊び (フィクションの楽しみ)

読者を共犯者に、旅の道連れに、仕立てあげること―二通りの読み方をもつ開かれた書物。『ユリシーズ』の実験的技法を用いながら、パリ、そしてブエノスアイレスを舞台に現代人の苦悩を描いた、ラテンアメリカ文学屈指の野心作。

小路幸也著『札幌アンダーソング』(2014)

札幌アンダーソング (角川文庫)

札幌アンダーソング (角川文庫)

北海道は札幌。雪の中、全裸で発見された変態的な遺体の謎を解くため、若手刑事の仲野久は、無駄に色男の先輩・根来とともに、「変態の専門家」を訪ねる。はたしてその専門家とは、とんでもない美貌の天才少年・春。なんと彼は、四世代前までの、先祖の記憶を持つという。その膨大な記憶から、あらゆる事実を見逃かすことができるのだ。その頭脳により、春は犯人の遺したメッセージを看破。しかも意外な方法で犯人を挑発し始め…!?変態事件に巻き込まれたフツウの主人公の運命は。そして札幌の歴史に秘められた意外すぎる謎とは…!?

伊藤計劃, 円城塔著『屍者の帝国』(2012)

屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける―伊藤計劃の未完の絶筆を円城塔が完成させた奇蹟の超大作。

舞城王太郎著『淵の王』(2015→2017)

淵の王 (新潮文庫)

淵の王 (新潮文庫)

俺は君を食べるし、食べたし、今も食べてるよ――。魔に立ち向かい、往還する愛と祈り! 友達の部屋に現れた黒い影。屋根裏に広がる闇の穴。正体不明の真っ暗坊主。そして私は、存在しない存在。“魔” に立ち向かうあなたを、ずっと見つめていることしかできない。最愛の人がこんなに近くにいたことに気づいたのは、すべてが無くなるほんの一瞬前だった……。集大成にして新たな幕開けを告げる舞城史上最強長篇!

エイモス・チュツオーラ著, 土屋哲訳『やし酒のみ』(1952=1970→2012)

やし酒飲み (岩波文庫)

やし酒飲み (岩波文庫)

「わたしは、十になった子供の頃から、やし酒飲みだった」―。やし酒を飲むことしか能のない男が、死んだ自分専属のやし酒造りの名人を呼び戻すため「死者の町」へと旅に出る。旅路で出会う、頭ガイ骨だけの紳士、幻の人質、親指から生まれ出た強力の子…。神話的想像力が豊かに息づく、アフリカ文学の最高傑作。作者自身による略歴(管啓次郎訳)を付す。

やし酒飲み
私の人生と活動(管啓次郎訳)
解説(チュツオーラとアフリカ神話の世界(土屋哲)
異質な言語の面白さ(多和田葉子)

飯田一史著『ベストセラー・ライトノベルのしくみーキャラクター小説の競争戦略』(2012)

ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略

ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略

生徒会の一存』『バカとテストと召喚獣』『とらドラ!』『ゼロの使い魔』『とある魔術の禁書目録』『鋼殻のレギオス』そして『涼宮ハルヒの憂鬱』・・・・・・。 シリーズ累計で数百万部を売り上げ、いまもっとも読者を獲得しているジャンルであるライトノベルから、作品論、メディア論、顧客分析、競争環境分析を駆使して、市場で勝つ戦略までを解き明かす。 Amazonランキングで1位になったライトノベル作品を徹底分析する。

はじめに amazonで1位になったライトノベル〈だけ〉読む
第一部 総論 ライトノベルの四大ニーズ
第二部 ラブコメ
 第一章 高坂桐乃はなぜ「残念」なのか
 第二章 リーダーシップ・ギャグ・秀吉 『バカとテストと召喚獣
 第三章 ラブコメで「刺す」には 『とらドラ!』『文学少女
 第四章 ファンタジーツンデレ・本妻確定型ハーレム 『ゼロの使い魔
 第五章 バトルラブコメ+本妻不在型ハーレムの成功と困難 『IS〈インフィニット・ストラトス〉』
第三部 バトル
 第一章 なぜ異能バトルに上条さんの「説教」が必要なのか 『とある魔術の禁書目録
 第二章 バトルで「刺す」ためのしゃべらない敵 『鋼殻のレギオス
第四部環境分析
 第一章 顧客分析 『涼宮ハルヒの憂鬱』受容を通じてのオタク世代論
 第二章 事業分析 なぜライトノベル発のメディアミックスは重宝されるのか
付録 Q&A 細かい話や疑問に答えます
終わりに

宇野朴人著『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』(2012)

隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国、カトヴァーナ帝国。その一角に、とある事情で嫌々、高等士官試験を受験しようとしている、一人の少年がいた。彼の名はイクタ。戦争嫌いで怠け者で女好き。そんなイクタが、のちに名将とまで呼ばれる軍人になろうとは、誰も予想していなかった……。戦乱渦巻く世界を、卓越した才で生き抜くイクタ。その波瀾万丈の半生を描く、壮大なファンタジー戦記、いよいよ開幕!