永井純一著『ロックフェスの社会学-個人化社会における祝祭をめぐって』(2016)

 

「ロックフェスティバル」と呼ばれる音楽イベントが日本で存在感を放つようになって久しい。ロックフェスはそれまでのコンサートやライブとはどう異なるのか、本書は豊富なフィールドワークの知見をもとにその構造と新奇性を分析するとともに、2000年以降の日本社会の変化とフェスの隆盛を関連づけ、現代の祝祭をめぐる個人と共同体のパラドキシカルな関係を問う。

はじめに

第1章 ライブでは何が共有されるのか
 1 フェスとライブ・エンタテインメントの現在
 2 メディア文化とライブ文化
 3 拡張現実としてのフェス

第2章 フェスにおける〈参加〉
 1 なぜフェスに行くのか
 2 コンサート・ライブにおける音楽聴取
 3 フェスにおける聴取

第3章 参加者の誕生
 1 〈参加〉は何によってもたらされるのか
 2 規範の形成
 3 〈参加〉の学習と草の根的な仲介
 4 フェスのアーキテクチャ

第4章 フェス前史――ロックフェスティバルとライブ空間の変遷
 1 コンサート・ライブの時代性
 2 日本のロックとロックフェスの黎明期
 3 コンサートの制度化
 4 ライブハウスの勃興

第5章 現代社会とイベント
 1 増殖するイベント
 2 イベント化するコンサート
 3 祝祭と共同体
 4 自己目的化するイベントと共同体の困難

第6章 個人化とフェス仲間
 1 余暇活動と自己実現
 2 集団化装置としてのフェス
 3 フェス仲間の形成

第7章 不確かな未来と〈いま・ここ〉の肯定
 1 ロストジェネレーションとフェス
 2 個人化社会におけるフェス

おわりに
音楽フェスティバル関連年表
参考文献
人名・事項索引