ウィリアム・マイヤーズ著, 久保田晃弘監修, 岩井木綿子, 上原昌子訳『バイオアート―バイオテクノロジーは未来を救うのか。』(2015=2016)

 

生命科学の発展は人間も環世界も根源的に「作り変え可能」〈ハッカブル〉であることを示している。生命の作り変え〈ハック〉が情報技術と共に経済合理性に隷従すれば、現代社会のあらゆる領域は統計的な最適化と優生学が組み合わさった、自然淘汰ならぬ「人工淘汰」の思考に規定されかねない。バイオアートは、未だ見ぬ人間とその物語から現在の私たちの向かう道筋を逆照射することで、現代の技術決定論に抗うことのできる実践的な哲学、そしてデザインの方法論だ。それは現代において数少ない希望の源泉でもある。

[日本語版序文]
反転の美学―ポストゲノム時代のバイオアート
久保田晃

[日本語版特別寄稿]
スペキュラティヴ・デザインとバイオアート
― 長谷川 愛

Chapter 1 自然の自然な改変
Chapter 2 生命の再定義
Chapter 3 尺度と領域の可視化
Chapter 4 自己認識とメディアの実験