大竹弘二「カール・シュミットと決断の根拠」『政治思想研究』第16号, 2016年.

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64「だがシュミットにすれば、いくら法律の条文を厳密に読解して、その裏にある意志を推し量ろうとしても、それでは決して正しい判決は下せない。法律に先立ってそれを作った者の意志が存在するというのは「フィクション」にすぎない。書記のシュミットが好んで参照するハンス・ファイインガーの『〈かのように〉の哲学』(1911)の言葉を借りれば、人は法律の背後に”あたかも”立法者の意志がある”かのように”振る舞っているに過ぎないのである」
66「しかし、実のところシュミットは、決断にはいかなる根拠も理由も必要がないなどと主張しているわけではない。むしろ彼は、決断が「計算可能」で「予見可能」であることにこだわっている」

カール・シュミットの挑戦

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カール・シュミットの「危険な精神」 戦後ヨーロッパ思想への遺産

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カール・シュミット時事論文集―ヴァイマール・ナチズム期の憲法・政治論議

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シュミットとシュトラウス―政治神学と政治哲学との対話 (りぶらりあ選書)

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パルチザンの理論―政治的なものの概念についての中間所見 (ちくま学芸文庫)

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友愛のポリティックス I

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東條由紀彦著『近代・労働・市民社会―近代日本の歴史認識Ⅰ』(2005)

「市民としての労働者」の視点から日本の近代社会の歴史的位置を明らかにするとともに、そうした諸個人(=市民)の固有のあり方という視点から日本社会の歴史に貫通するある種の「構成原理」をも比較史的に示す。

I 総論――日本近代社会の論理的再検討
 1 近代・労働・市民社会
 2「複層的市民社会」としての日本近代社会
 3「複層的市民社会」の歴史的形成
 4「同職集団」の生成と展開
 5まとめに代えて――伝統的唯物史観の再構成
II 各論――日本近代複層的市民社会の諸相
 6 初期製鉄業と職工社会
 7 産業革命期日本労働者の基本構成
 8 「キカイ」の出現と生活世界
 9 「キカイ」と「年季者」の遭遇
 10 「タコ人夫」社会と同職集団
 11 工場法の法理 むすびにかえて――次代への展望