長岡慎介著『イスラームからお金を考える』(2024)

 

イスラームには利子の禁止や喜捨の義務など信仰に基づいた経済の仕組みがある。今急速に発展しつつあり、世界の金融危機にも揺るがないイスラーム経済とは?

イスラームの世界では、助け合い精神で経済が回っている。お金を持っている人が持っていない人へ与える喜捨や銀行が無利子で事業へ出資し、儲けが出たら分配するムダーラバという仕組みだ。どちらも自分の利益のためにお金を使うのではなく、信仰に基づいた行動なのだ。現在の金融資本主義社会が抱える問題と限界を克服する、古くて新しい考え方、それが「イスラーム経済」だ。

第1章 イスラーム世界へようこそ!
第2章 つながる信仰と金もうけ
第3章 無利子銀行の挑戦
第4章 伝統と革新のイスラーム式助け合い
第5章 イスラーム経済の知恵から学ぶ

 

樋口恭介著『未来は予測するものではなく創造するものである -考える自由を取り戻すための〈SF思考〉』(2021)

 

無意味で無価値な仕事を再生産する「制約事項」を爆破し「本当のイノベーション」を取り戻せ――気鋭のSF作家&ITコンサルタントの著者が贈る理論と実践の書!

1 “SF思考”とは何か?(物語の力
オルタナティブを思考/志向する“SF思考”
世界におけるSFとビジネスの関係)
2 “SFプロトタイピング”をはじめる(自由な思考・議論のためのマインドセット
SFプロトタイピングのプロジェクト進行
物語のアプローチを考える
物語を生み出すコツ)
3 “SFプロトタイピング”のケーススタディ(未来の服を考える「母を着る」
未来の都市を考える「ペーンポーイ文明における都市型演算機構の活用事例(『ペーンポーイ民俗史研究』第二七号掲載)」
COVID‐19以降の社会を考える「踊ってばかりの国」)

 

大野萌子著『電話恐怖症』(2024)

 

「電話の着信音がなると動悸がする」
「人に聞かれるのが嫌で職場で電話ができない」――。
近年、電話が原因で心身症状が現れたり、
仕事に支障を来したりする若者が増えているという。
その心理的背景を豊富な事例で解き明かす。
Z世代の理解の一助にもなる一冊。
電話が嫌いでたまらない人へ、今日からできる克服法を伝授します。
大丈夫、きっと治せます。

第1章 若者だけじゃない! 電話ぎらいが急増中
電話をこわがる人が増えてきた/ケース1 給湯室から打ち合わせしてきた新入社員/職場で質問をするのがこわい/ケース2 電話の着信音が鳴るだけで動悸がする/ケース3 電話に出ることを強要されて出社拒否/ケース4 長電話が切れず疲弊。友人づきあいが疎遠に/2015年ごろから顕著になってきたこと/アメリカでは約8割の若者が電話に不安感/「電話恐怖症」とは何か/中高年でも苦手な人は多い/

第2章 電話が苦手な人の中で起きていること
顔が見えないツールはこわい/私たちは視覚と聴覚でも会話している/人は相手の反応がなければうまく話せない/顔が見えないほうがいい人がいる/電話に必要な瞬発力がない/雑談の減少が「電話が苦手」の原因?/固定電話を使った経験値が低い/トラウマの経験が尾を引いている/人目が気になり、電話に出られない/断ることができない/理解力に自信がない/相手が誰だかわからない/完璧主義だから/時間を奪われるのがいや/自己肯定感の低下にも一因が?/コラム1 電話に慣れていない世代への接し方

第3章 電話の知られざる意義
電話のメリットは情報量の多さ/記録に残らないのがデメリット/電話は旧世代のメディアか/電話と文字ツールの使い分けはどうする/電話をしないと戸惑われることも/電話応対がうまい人は仕事ができる?/電話で関係構築が楽になる/メールだけですませるとトラブルに/もめそうなときは必ず電話で

第4章 電話がこわくてたまらない人の初めの一歩
コミュニケーションはキャッチボール/キャッチボールは平らな場所で/恐怖を否定しないで受け止める/電話への恐怖をやわらげる段階的暴露法/電話が苦手な部下がいたら/着信音を工夫する/電話をかけるときの第一歩/かけるタイミングが悪いのかも/電話を簡潔に終わらせる方法/「間」は大切なコミュニケーション/言葉の使い方にコンプレックスがある/思わずタメ口を言ってしまった!/パニックになって話が入ってこない!/混乱のあまりよく聞こえない!/留守番電話になってしまった!/

第5章 実践編 厄介なシーンに対応する
クレーマーのトラウマがある人は/怒りの電話は一次感情にフォーカス/相手の意向を探る/理不尽なクレーマーには/言葉尻をとらえて攻撃してくる場合は/笑顔で電話に出るとクレームを言われにくい/やたらと電話をかけてくる電話魔には/電話での勧誘を上手に断るには/話がぐるぐる回る人への対応/相手がよくわからないことを言っている/コラム2 電話魔にならないために  

第6章 実践編 電話で成果を上げるヒント
初めてのアポイント電話/語彙の不足を克服するヒント/話を転換するときは質問形式/厄介な「なるほど」問題/謝罪をメールだけですませるのは危険/謝罪の電話の効果的な方法/アポイントせずに電話をかけなければならない/電話をかけてよかったと思わせる応対とは/電話で言いにくいことを伝えるテクニック/納期が過ぎている場合の催促のコツ

第7章 コミュニケーションは自分との対話
電話が苦手=コミュニケーション下手なのか/喜怒哀楽にふたをすると感情が退化する/自分と対話するには日記に感情を記す/ネガティブな感情は全然悪くない/向き合っているとふっきれるタイミングが来る/「私は」を主語にすると自分がわかる/自分を認めると他者との関係が安定する/自分の意思を言葉にしてあらわす/「NO」を言えない人が抱える問題/断ることもコミュニケーション/傷ついてもリカバリーできればいい/リカバリーするためには強制リセット

第8章 「電話恐怖症でもいい」という提案
こわくなくなる習慣/とにかく場数を増やす/「この人は私と話したくてたまらない」/げんをかつぐ、ルーティンをつくる/社会的地位が上でも同じ人間/電話でもボディーランゲージを/笑い話のネタにしてしまおう/電話恐怖症でもいい理由/恐怖は人に必要なもの/「電話恐怖症でよかった」と思える日のために/「人はそんなに話を聞いていない」と居直ろう/「自分軸」を持って、自分を大切に/自分をどんどんほめて、毎日を楽しくしよう

 

ジョー・ネスポ著,鈴木恵訳『その雪と血を』(2015=2018)

 

オーラヴ・ヨハンセンは殺し屋だ。この数年間、麻薬業者のボスに命じられて殺人を引き受けてきた。今回の仕事は、不貞を働いているらしいボスの妻を始末すること。いつものように引き金をひくつもりだ。だが彼女の姿を見た瞬間、信じられないことが起こる。オーラヴは恋に落ちてしまったのだ――。葛藤する彼の銃口は誰に向かうのか。放たれた弾丸が首都の犯罪組織を大きく揺るがす……。雪降りしきる70年代のノルウェーを舞台に、世界で著作累計2800万部を突破した北欧ミステリの重鎮が描く血と愛の物語。

 

村上春樹著『使いみちのない風景』(1998)

 

ふと甦る鮮烈な風景、その使いみちを僕らは知らない――作家と写真家が紡ぐ失われた風景の束の間の記憶。文庫版新収録の2エッセイ、カラー写真58点。