ヒトにおける知覚、認知、運動、思考、意識…それぞれの仕組みの解明に向けた研究が進む中、それらをたった1つの原理で説明する画期的な理論が世界的に大きな注目を集めている。
――著者の一人、神経科学者フリストンが提起した「自由エネルギー原理」である。本書ではこの原理の意義を強調しながら、我々が生きる世界についての不確実性を解消する「能動的推論」を解く。認知的現象を統一的に説明した、今までにない新たなモデルを提供する書。
序 文
凡 例
第Ⅰ部1 序 章
1.1 はじめに
1.2 生物はどのようにして生存し,適応的に行動するのか?
1.3 能動的推論:第一原理から行動を考える
1.4 本書の構成
1.5 まとめ2 能動的推論への常道
2.1 はじめに
2.2 推論としての知覚
2.3 生物の推論と最適性
2.4 推論としての行為
2.5 モデルと世界の間のずれを最小化する
2.6 変分自由エネルギーの最小化
2.7 期待自由エネルギーと推論としての行動計画
2.8 期待自由エネルギーとは何か
2.9 常道の終わりに
2.10 まとめ3 能動的推論への王道
3.1 はじめに
3.2 マルコフ・ブランケット
3.3 サプライズの最小化と自己証明
3.4 推論,認知,および確率的ダイナミクスの関係
3.5 能動的推論:行動と認知を理解するための新しい基盤
3.6 モデル,ポリシー,および軌道
3.7 能動的推論のもとでのエナクティブ理論,サイバネティクス理論,予測理論の統合
3.8 能動的推論:生命の誕生から主体性まで
3.9 まとめ4 能動的推論の生成モデル
4.1 はじめに
4.2 ベイズ推論から自由エネルギーまで
4.3 生成モデル
4.4 離散時間の能動的推論
4.5 連続時間の能動的推論
4.6 まとめ5 メッセージパッシングと神経生物学
5.1 はじめに
5.2 微小回路とメッセージ
5.3 運動指令
5.4 皮質下構造
5.5 神経修飾と学習
5.6 連続的な階層と離散的な階層
5.7 まとめ
第Ⅱ部6 能動的推論モデルを設計するためのレシピ
6.1 はじめに
6.2 能動的推論モデルの設計:4段階のレシピ
6.3 どんなシステムをモデリングしているのか?
6.4 生成モデルの最も適切な形とは
6.5 どのように生成モデルを設定するか?
6.6 生成プロセスの設定
6.7 能動的推論を用いたデータのシミュレーション,可視化,分析,フィッティング
6.8 まとめ7 離散時間の能動的推論
7.1 はじめに
7.2 知覚処理
7.3 推論としての意思決定と行動計画
7.4 情報探索
7.5 学習と新規性
7.6 階層的推論または深い推論
7.7 まとめ8 連続時間の能動的推論
8.1 はじめに
8.2 運動制御
8.3 ダイナミカルシステム
8.4 一般化同期
8.5 ハイブリッド(離散および連続)モデル
8.6 まとめ9 モデルベースのデータ分析
9.1 はじめに
9.2 メタベイズ法
9.3 変分ラプラス法
9.4 パラメトリック経験ベイズ法(PEB)
9.5 モデルベースの解析手順
9.6 生成モデルの例
9.7 誤推論のモデル
9.8 まとめ10 感覚状態に反応する行動の統一理論としての能動的推論
10.1 はじめに
10.2 これまでのまとめ
10.3 点をつなぐ:能動的推論の統合的視点
10.4 予測する脳,予測する心,そして予測処理
10.5 知 覚
10.6 行為の制御
10.7 効用と意思決定
10.8 行動と限定合理性
10.9 感情価,情動,モチベーション
10.10 ホメオスタシス,アロスタシス,内受容処理
10.11 注意,顕著性,認識的ダイナミクス
10.12 規則学習,因果推論,および高速の般化
10.13 能動的推論と他の分野:未解決の問題
10.14 まとめ
補遺A-数学的背景
A.1 はじめに
A.2 線形代数
A.3 テイラー級数近似
A.4 変分法
A.5 確率的ダイナミクス補遺B-能動的推論の方程式
B.1 はじめに
B.2 マルコフ決定過程
B.3 (能動的)一般化フィルタリング補遺C-注釈付きMatlabコードの例
C.1 はじめに
C.2 予備知識
C.3 尤 度
C.4 遷移確率
C.5 事前選好と初期状態
C.6 ポリシー空間
C.7 まとめよう
C.8 シミュレーションとプロッティング注 記
引用文献
訳者あとがき
索 引