アーサー・ビナード著『日本語ぽこりぽこり』(2005)

 

講談社エッセイ賞受賞の名著、待望の文庫化
地球を宇宙から見つめるように日本語を遠くから捉えて解き明かす、
そんな視点を、著者は常に持っている。
「外人力」とでも呼ぶべきか。

一方、日本語の中へ分け入り、奥まで掘り下げ、
そこで初めて見える世界もあり、本書にはそれが度々表われる。
著者の「探検力」の成果だ。

新星の画家ねっこかなこの挿し絵でも、
遠くの不思議と近くの仲間の奇妙さが張り合い、共鳴している。

さらに一青窈のとびきり鮮やかな解説も加わり、
いよいよ本質が炙り出される。

イビキとクシャミと七面鳥に耳を澄ませば、
誰でも詩人といっしょに言語宇宙を旅できる、
「ぽこり装置」の完成だ。

1 海を挟んでつれション

独楽った話       008
くしゃみ、糞食らえ   012
海を挟んでつれション  016
ジス・イズ・ア・柿?  020
マネーのズレ      024
お粗末お札       030
鯨の方式        038
蝉たちの沈黙      042
誤訳の味        048

 

2 メロンの立場

メロンの立場       056
二〇〇三年宇宙の徒費   061
テレビの取っ手      066
電気紙芝居        070
ぐるりとまわして魚の目  076
ブレアーのゴッドハンド  082
鉄のベッド、テロリストのリスト  087

 

3 夜行バスに浮かぶ

ペダル号                092
ゐぱだだ津軽弁             096
猫の皿、師匠の猫、ぼくの考え落ち    101
ベッドとボブスレー           109
夜行バスに浮かぶ            114
馬車からNASAへの道         119
あの夏の土用にぼくが死にたくなかったワケ  122

 

4 鼾感謝祭

火鉢バーベキュー     146
ワサビが似合うサンダル  150
カウボーイとソイ     153
鼾感謝祭         157
ビバリーヒルズ丸めんこ  163
名札           167
ペリーとパリと落書きのスタンダード  170

 

5 ターキーに注意

鹿を追う         176
不法侵入と母の教え    182
ハロウィーンの恐怖    186
ターキーに注意      192
兎に化けた蜘蛛が狼を馬鹿に  197
だれが落としてもグー?  209
荷物の取り扱い注意    216
エープリル・フィッシュ  221
夏のわすれもの      227

 

6 おまけのミシシッピ

おまけのミシシッピ    232

 


解説 あーさー天気になーれ 一青窈   252
在りし日のあとがき     258
文庫版あとがき       261

初出一覧         268

56 シュローサー『ファストフードが世界を食いつくす』