今野晃「social概念のある起源をめぐってー『社会契約論』の分析を手がかりに―」『相関社会科学』第23号(2014年3月)

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社会問題の変容 ―賃金労働の年代記―

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理性の使用―ひとはいかにして市民となるのか

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フランス革命の文化的起源 (NEW HISTORY)

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29「つまりルソーは、現実における社会関係を見ることなく、自律した個人による契約という構想を推し進めたが、政治的権利の平等を保障し、経済を基盤にした道徳に基づく個人の自由を強調するのみでは、社会が生み出す不平等は解消されない。そこでは、社会関係の不均衡に起因する問題を個人へと還元しかねない(28)。社会関係を看過した、彼の時代に即して言えば、道徳にも政治にも還元できない問題を看過した故に、不平等の解消を目指しつつ、逆の帰結に辿り着いた理論の帰結。これが、ルソーが直面した現実と理論のズレである。」