- 作者: 松浦寿輝
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1987/05
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
映画は1を欠いている。複数の〈わたし〉に決定的な刻印をしるす、このマイナス1をめぐって旋回する魅惑のエクリチュール。気鋭の詩人が、繊細かつ大胆な情熱をこめて繰り広げる待望の映画論集成。
1 映画空間へ
液体論―映画的交合とその異化
みずからの独身者たちによって裸にされた映画、さえも
映画と色彩
2 幻想的肉体
接吻論―官能的距離の背理
ゆらめく上半身―イングリッド・バーグマン論
少年、あるいは無表情のゼロ記号
映画、死者を欠いた葬礼
3作家論=主題論
燃えあがる文字、書かれた炎―『アデルの恋の物語』のために
ヒッチコックの「劇場」―緊張と撹乱
タルコフスキー空間―多孔質の境界)
4 模像と運動
ドゥルーズ〈と〉映画
囮と人形―相似の映画論
p.256「同人誌『シネマグラ』の友人たちと過ごした蜜月時代が懐かしい。兼子(正勝)、四方田、それに鈴木啓二、野村正人、平野京子、金子伸郎、西成彦、沼野充義、宮脇洋、稲川正一、阿尾安泰といった人々から得た多くのものが本書のページのいたるところに溢れているはずだ。師と呼ぶにはあまりにも「反=教育的」に煽動することの好きな蓮實重彦氏に対しては、いかなる言葉を捧げるべきであろうか」