園田茂人「食文化の変化にみる東アジアのグローバル化 ーアジアバロメーターのデータ分析から」『社会学評論』2009年, 60巻, 3号, p.396-414

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東アジアのグローバル化を論じる際に,文化,とくに食文化の変容に焦点が当てられるのは稀で,特定の料理がどのように受容されるにいたるかを研究した例は少なくないものの,各地でどのような食が好まれているかを分析した実証研究は皆無に等しい.
そこで本稿では,こうした研究の間隙を埋めるべく,アジアバロメーターの2006年と07年のデータを利用し,東アジア14の国・地域における食の嗜好を分析してみたところ,D. ヘルドのいうグローバリスト的視点,伝統論的視点,変容論的視点のすべてに適合的な事例がみつかり,個々の国・地域や料理の歴史・特徴によって,グローバル化インパクトは一様でないことが明らかになった.また,総じてグローバル化にさらされることで雑食化の傾向は助長されるものの,こうした傾向がみられない国もあり,一般化がむずかしい状況が確認された.

浜本篤史・園田茂人,2007,「現代中国における日本食伝播の歴史と力学――北京の日本料理店経営者を対象にしたインタビューから」『アジア太平洋討究』9: 1-20.