周[イ]生, 小泉國茂「冷蔵庫を事例とした日中間のグローバルリサイクルシステムの環境影響評価」『政策科学』立命館大学政策科学会, 2005年, 13巻, 1号, p.43-52

本文

アジアの経済発展と共に貿易構造の多角化が進み、消費国と生産国間の資源循環量が激増している。生産国で生産され、消 費国で廃棄物となった資源が、生産国に循環することによって新たな枯渇性資源採掘が抑制され、資源問題と環境問題が緩和 される。枯渇性資源の最大活用を目指して、輸入廃棄物を手作業により分解・分別し、資源生産性を高めている国が中国であ る。この資源生産性の高さを利用して、EUアメリカ、日本の資源廃棄物が、中国に大量に輸出されている。資源生産性を 極大化し、その他の環境影響を最小化するには、環境影響を定量的に評価することが重要である。本論文では、資源生産性評 価として素材別の再資源化率を用い、環境影響を大気限定ではあるが、新たに素材を製造する際に排出される CO2,SO2,NOx な どの大気汚染物質削減量を評価基準とし、LCA(ライフサイクルアセスメント)によって評価する方法を提案した。日本に輸 入された中国製廃冷蔵庫重量相当分を中国へ資源循環し、再資源化した場合を想定し、貿易形態別のモデルにより評価した結 果、再資源化率は冷蔵庫 1 台当たり 23 %上昇し、大気汚染物質排出量も2倍~ 10 倍以上削減できることが明らかになった。 また、貿易形態によっては大気汚染物質削減量が低くなるモデルがあることも明らかにすることができた。