中川和亮「イベント研究の方法論的検討」『ソシオロゴス』2017年, 41号

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本稿では、イベントに参加したひとびとの経験と日常生活の連続性に焦点をあて、イベント研究の方法論を検討することを目的とする。これまでのイベントを方法論的に検討した研究ではイベントという非日常経験がいかにひとびとの日常生活と連続しているかという点に着目しておらず、また「受け手」がイベントに参加した際の経験の質を検討したものはない。そのなかで本稿では、M.チクセントミハイのフロー理論を補助線として、イベントという非日常経験が、ひとびとにとっていかなる意義があるのか、ということを検討する。ひとびとは各自で自己認識を発展させていく必要を求められる一方で、ひとびとの要求に応じてイベントの「創り手」は擬似的に「かりそめの現実」を提供する。本稿は、「かりそめの現実」による「自己認識の発展」に問題意識を持ちつつ、イベントで「受け手」が醸成しうる別の「自己認識の発展」の可能性を検討する。

83「カイヨワの遊びに対する立場を批判的検討したのがチクセントミハイである。チクセントミハイはひとびとが遊びという非日常経験をすることにより、 その場における経験を日常生活にフィードバックし、成長しうることを、自己目的的経験による「内発的報酬(intrinsically rewarding」に見出し、フロー理論を確立させた」

高橋豪仁,2011,『スポーツ応援文化の社会学世界思想社.

スポーツ応援文化の社会学 (世界思想ゼミナール)

スポーツ応援文化の社会学 (世界思想ゼミナール)

  • 作者:高橋 豪仁
  • 発売日: 2011/01/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 山田真茂留,2010,『非日常性の社会学学文社.

 新井克弥,2009,『劇場型社会の構造——「お祭り党」という視点』青弓社.