感染症との闘いは人類に勝利をもたらすのだろうか.防疫対策による封じ込めは,大きな悲劇の準備にすぎないのかもしれない.共生の道はあるのか.感染症と人類の関係を文明発祥にさかのぼって考察し,社会が作り上げてきた流行の諸相を描き出す.共生とは理想的な均衡ではなく,心地よいとはいえない妥協の産物ではないか.
プロローグ 島の流行が語ること
第1章 文明は感染症の「ゆりかご」であった
第2章 歴史の中の感染症
第3章 近代世界システムと感染症―旧世界と新世界の遭遇
第4章 生態学から見た近代医学
第5章 「開発」と感染症
第6章 姿を消した感染症
エピローグ 共生への道
付録 麻疹流行の数理