日本の為替,金融,財政のマクロ経済政策全般を俯瞰し,独自のデータ分析で徹底的にその問題点を解明する.円安誘導による景気浮揚,財政ファイナンスである異次元緩和,政府の責任感の欠如で先送りされる財政再建,最終的にその帳尻合わせを強いられるのは国民だ.現実を直視せずして日本のマクロ経済政策の正常化は望めない.
序 章 漂流する日本のマクロ経済政策
第1章 通貨政策1――日本はなぜ為替介入から卒業できないのか
1 外国為替市場介入と為替レート
2 日本の為替介入とその問題点
3 歯止めのない為替介入の弊害
4 諸外国の為替介入第2章 通貨政策2 ――投資ファンド化が進む外国為替資金特別会計
1 外国為替資金特別会計のしくみ
2 特別会計改革と外為特会の現状
3 投資ファンド化が進む外国為替資金
4 諸外国の外貨準備の管理体制第3章 金融政策――デフレ対策という名の財政ファイナンス
1 日本は本当にデフレだったのか
2 物価はなぜ安定していたのか
3 金融政策と財政政策の関係
4 中央銀行を守るのは誰か第4章 財政政策――「経済成長なくして財政再建なし」?
1 政府の経済成長目標は現実的か
2 高齢化は財政危機の主因ではない
3 政府の財政健全化目標の変化
4 国民を欺く政府第5章 マクロ経済政策と民主主義――日本が生まれ変わることは可能か
1 既定路線の政策の先に何があるか
2 持続的なマクロ経済政策の要件
3 なぜ日本では民主政治が機能しないのか
4 日本は変わることができるかあとがき
参考文献