熊倉正修著『日本のマクロ経済政策-未熟な民主主義の帰結』(2019)

 

日本のマクロ経済政策: 未熟な民主政治の帰結 (岩波新書)

日本のマクロ経済政策: 未熟な民主政治の帰結 (岩波新書)

 

日本の為替,金融,財政のマクロ経済政策全般を俯瞰し,独自のデータ分析で徹底的にその問題点を解明する.円安誘導による景気浮揚,財政ファイナンスである異次元緩和,政府の責任感の欠如で先送りされる財政再建,最終的にその帳尻合わせを強いられるのは国民だ.現実を直視せずして日本のマクロ経済政策の正常化は望めない.

序 章 漂流する日本のマクロ経済政策

第1章 通貨政策1――日本はなぜ為替介入から卒業できないのか
 1 外国為替市場介入と為替レート
 2 日本の為替介入とその問題点
 3 歯止めのない為替介入の弊害
 4 諸外国の為替介入

第2章 通貨政策2 ――投資ファンド化が進む外国為替資金特別会計
 1 外国為替資金特別会計のしくみ
 2 特別会計改革と外為特会の現状
 3 投資ファンド化が進む外国為替資金
 4 諸外国の外貨準備の管理体制

第3章 金融政策――デフレ対策という名の財政ファイナンス
 1 日本は本当にデフレだったのか
 2 物価はなぜ安定していたのか
 3 金融政策と財政政策の関係
 4 中央銀行を守るのは誰か

第4章 財政政策――「経済成長なくして財政再建なし」?
 1 政府の経済成長目標は現実的か
 2 高齢化は財政危機の主因ではない
 3 政府の財政健全化目標の変化
 4 国民を欺く政府

第5章 マクロ経済政策と民主主義――日本が生まれ変わることは可能か
 1 既定路線の政策の先に何があるか
 2 持続的なマクロ経済政策の要件
 3 なぜ日本では民主政治が機能しないのか
 4 日本は変わることができるか

あとがき
参考文献