「司法改革」が進み,実務教育重視の法科大学院が実現されようとしている現在,いまこそ「先端的な基礎研究」が必要であることを説く.桐蔭横浜大学法学部と「ドイツ法フォーラム」共催のシンポジウムをベースにまとめる.基礎法学の今日的意味と魅力を伝える書.
はじめに(村上淳一)
I 〈過去〉に対する態度
サヴィニーの法学がとった,〈過去〉に対する態度(守矢健一)
[コメント]「〈過去〉に対する態度」の現代的位置づけ――ニーチェとボルツ(村上淳一)
II 〈過去〉の解釈と批判 その1:サヴィニーの法制度論
サヴィニーの法制度論――理論と実務の架橋(児玉 寛)
[コメント]歴史研究と体系形成(石部雅亮)
III 〈過去〉の解釈と批判 その2:ラーベルの場合
ローマ法・比較法・民法解釈学批判――ラーベルの場合(小川浩三)
[コメント]ラ-ベルの史料操作(木庭 顕)
IV 討論:法律家の歴史的素養
法の実定性
サヴィニーの「構成」
クリティックとドグマティク
歴史の枠組
ローマ史と「モデル」
なぜ歴史を学ぶか
[全体へのコメント] クリティックとしての歴史的素養(石井紫郎)
補説1 「差異の寄生者」としての個人―ルーマンを読む(村上淳一)
補説2 貴族サヴィニーの民事訴訟(村上淳一)