佐藤亜紀著『小説のタクティクス』(2014)

小説のタクティクス (単行本)

小説のタクティクス (単行本)

小説において形式とはなにか。それはどのように機能するのか。美術の表現から小説へ。『小説のストラテジー』に続き、小説の未来をうらなう大胆評論が展開する。

1 様式の問題―表現様式は内容により変化する
2 日常は内戦と虐殺に接続される―ハリウッド映画における暴力表現の変化と9・11の関係
3 群衆の中の小さな顔―『宇宙戦争』における「人間の顔の喪失」と「格差」
4 顔はいかに表現されてきたか―固有の顔か、標準化された無数の顔のひとつか
5 暴かれた世界―ザンダー『二十世紀の人間』と全体主義における人間の顔
6 五月三日―ゴヤと歴史の傷
7 見ることと語ること―薄皮の下にあるものが侵入してくる
8 忠実な羊飼い―「凡庸な悪」と英語の問題
9 「未来」は存在しない―我々にはもう「顔」はない
10 「3・11以後の表現」は可能か―結びに代えて