土井隆義著『友だち地獄−「空気を読む」世代のサバイバル』(2008)

友だち地獄 (ちくま新書)

友だち地獄 (ちくま新書)

誰からも傷つけられたくないし、傷つけたくもない。そういう繊細な「優しさ」が、いまの若い世代の生きづらさを生んでいる。周囲から浮いてしまわないよう神経を張りつめ、その場の空気を読む。誰にも振り向いてもらえないかもしれないとおびえながら、ケータイ・メールでお互いのつながりを確かめ合う。いじめやひきこもり、リストカットといった現象を取り上げ、その背景には何があるのか、気鋭の社会学者が鋭く迫る。

第1章 いじめを生み出す「優しい関係」
 繊細な気くばりを示す若者たち
 友だちとの衝突を避けるテクニック ほか
第2章 リストカット少女の「痛み」の系譜
 高野悦子南条あやの青春日記
 自分と対話する手段としての日記 ほか
第3章 ひきこもりとケータイ小説のあいだ
 「自分の地獄」という悪夢
 「優しい関係」という大きな壁 ほか
第4章 ケータイによる自己ナビゲーション
 ケータイはもはや電話機ではない
 「ふれあい」のためのメディア ほか
第5章 ネット自殺のねじれたリアリティ
 ネット集団自殺がみせる不可解さ
 現実世界のリアリティの希薄さ ほか