- 作者: ルーシー A.サッチマン,佐伯胖,水川喜文,上野直樹,鈴木栄幸
- 出版社/メーカー: 産業図書
- 発売日: 1999/10/28
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 73回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
本書は人間の行為とコミュニケーションに関して今日の人工知能研究において想定されている支配的な前提への痛烈な批判の書である。著者は、人と機械のインタラクション(相互作用)に関して、人工知能研究が想定している「プラン(計画)」のモデルは、人間の社会的行為が「状況に埋め込まれている」という特性を考慮していないため、必ずどこかで破綻する運命にあるという。そのことを、本書では、人工知能の機能を取り入れた「かしこい」コピー機が、初歩のユーザーとの「コミュニケーション」に失敗し破綻を来すプロセスを詳細な「会話分析」を通して明らかにする。本書はハイテク社会における人間と機械とのコミュニケーションについて、日常的会話に関するエスノメソドロジー研究をベースにして徹底的に分析し、その可能性と限界を明らかにしている。
第1章 序
第2章 インタラクティブな人工物
第3章 プラン
第4章 状況的行為
第5章 コミュニケーションのリソース
第6章 事例と方法
第7章 人間と機械のコミュニケーション
第8章 結論
50「プランや説明は、行為そのものではない。なぜなら、自分の行為を表象するためには、当然何らかの形でその行為の目的をでっち上げなければならないからである。結果として、私たちの行為の記述は、想像された将来の出来事および回想された再構成物という形態をとっていつも事実の前か後にくる」