轡田竜蔵著『地方暮らしの幸福と若者』(2017)

地方暮らしの幸福と若者

地方暮らしの幸福と若者

本書は、日本の若者研究の文脈と、「地方暮らしの幸福」に関する議論の文脈とをかけ合わせた問題意識から出発し、地方暮らしの諸側面を総合的に捉え、その社会的課題を考察する。広島県内の「地方中枢拠点都市圏」と「条件不利地域圏」の二つの自治体の若者(20〜30代)への質問紙調査とデプス・インタビュー調査から答えを探る。

序 章 本書のあらまし
 序-1 趣旨
 序-2 データと構成
 序-3 対照的な二つの調査地──「まち」の安芸郡府中町と「いなか」の三次市
第Ⅰ部 総論・理論編
第1章 総論:「地方暮らしの幸福論」の時代と若者
 1-1 若者の地方暮らしの描かれ方
 1-2 「地方暮らしの幸福」の捉え方
 1-3 小括──コミュニティの幸福ではなく、個人の潜在能力に着目する
第2章 「地方暮らしの若者」の社会的実態の分析視点
 2-1 「地方」の多様性をどう類型化するか
 2-2 「地方中枢拠点都市圏」の若者/「条件不利地域圏」の若者
 2-3 居住歴の多様性──「地元」中心のバイアスを避ける
 2-4 小括──行政区分ではなく、個人の生活圏から考える
第3章 「地方暮らしの幸福」の規定要因──広島二〇〜三〇代調査の統計分析から
 3-1 地域間の満足度格差
 3-2 満足度格差と経済的要因
 3-3 満足度格差と存在論的要因
 3-4 小括──地域満足度と主観的な「暮らしの質」との違い
第Ⅱ部 各論・事例分析編
    〈デプス・インタビュー対象者の概要〉
第4章 地元定住/地域移動の事例分析(1)──地方中枢拠点都市圏(安芸郡府中町)の場合
 4-1 地元に残る/地元に戻る
 4-2 地域にひきつけられる
 4-3 小括──地方中枢拠点都市圏の求心力
第5章 地元定住/地域移動の事例分析(2)──条件不利地域圏(三次市)の場合
 5-1 地元に残る/地元に戻る
 5-2 地域にひきつけられる
 5-3 小括──条件不利地域圏の求心力
第6章 ライフスタイル──田舎志向と地方都市志向のあいだ
 6-1 統計データから見る「大都市志向」「地方都市志向」「田舎志向」
 6-2 地方中枢拠点都市圏(府中町)のライフスタイル
 6-3 条件不利地域圏(三次市)のライフスタイル
 6-4 小括──地域間格差ではなくモビリティ格差
第7章 働き方──「安定志向」とそのオルタナティブ
 7-1 統計データから見る仕事についての意識
 7-2 「働き方」についての事例分析
 7-3 小括──厳しい地域経済の情勢下での「働き方改革

第8章 社会関係──ソーシャル志向と社会感覚
 8-1 社会関係の実態と意識──統計分析から
 8-2 「ソーシャル志向」の事例分析
 8-3 社会感覚についての事例分析
 8-4 小括──「幸福のジレンマ(個人の幸福と社会の幸福のずれ)」を見つめる
終 章 地方暮らしの幸福の成立条件
 終-1 本書の結論
 終-2 残された課題

38 豊泉『若者のための社会学

若者のための社会学―希望の足場をかける

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41「だが、収入水準は大都市のほうが高いにもかかわらず、近年では一世帯あたり消費支出額の多さは東京よりも地方都市のほうが上回っていることは、政府の家計調査のデータからも明らかである」
43 中沢『埼玉化する日本』47 菊池『「若者」の時代』
「若者」の時代

「若者」の時代