中島岳志, 島薗進著『愛国と信仰の構造ー全体主義はよみがえるのか』(2016)

政教分離現代日本国家神道と国体論が復活する? この「ぼんやりした不安」に歴史的な全体像と動態的な構造を投影する対談。戦前、仏教経由で国体論に回収され、言論弾圧やテロ、軍部独走を主導した「煩悶(はんもん)青年」の群像から入り、教育勅語に基づく国家神道の学校教育で巨大化した大衆の愛国心が既成宗教をのみ込む過程と合流する。国家神道は建前上「非宗教」として普通の宗教を上から支配。戦後も清算されず、現在のうごめきへと分析は進む。成熟した福祉社会との親和性、「1億総○○」化するアベノミクス改憲の抱き合わせ、日中韓北朝鮮が対立するほど互いに似るいまの東アジアの「なぜ」まで射程に入れる思考の補助線。

第1章 戦前ナショナリズムはなぜ全体主義に向かったのか
第2章 親鸞主義者の愛国と言論弾圧
第3章 なぜ日蓮主義者が世界統一をめざしたのか
第4章 国家神道に呑み込まれた戦前の諸宗教
第5章 ユートピア主義がもたらす近代科学と社会の暴走
第6章 現代日本の政治空間と宗教ナショナリズム
第7章 愛国と信仰の暴走を回避するために
第8章 全体主義はよみがえるのか

251 島薗『ポストモダン新宗教

ポストモダンの新宗教―現代日本の精神状況の底流

ポストモダンの新宗教―現代日本の精神状況の底流