齋藤純一著『不平等を考える: 政治理論入門』(2017)

不平等を考える: 政治理論入門 (ちくま新書1241)

不平等を考える: 政治理論入門 (ちくま新書1241)

この二〇年あまり、多くの国で格差の拡大が進んだ。経済は停滞し、国家の再分配政策も機能していない。そうしたなか、所得の低下に苦しむ人々の不安や怒りが、政治を大きく動かし、社会の分断をさらに深めている。いま、この不平等の問題を克服するためにどう考えればいいのか。本書では、私たちが尊重すべき「平等な関係」とは何かを根底から問いなおし、そうした社会を可能にするための制度を構想する。カント、ロールズ、セン、ハーバーマスらの議論を糸口に、現代の最難問にいどむ、政治思想の新たな基本書。

第1部 平等な関係
 1 市民としての平等な地位
 2 制度への不信
 3 公共的価値
 4 承認と連帯
 5 連帯と社会統合
第2部 社会保障と平等
 1 社会的・経済的不平定への対応
 2 社会的連帯とその理由
 3 自律の保障
 4 福祉国家の諸問題
 5 社会保障の新たな構想
 6 社会保障と政治経済
第3部 デモクラシーと平等
 1 デモクラシーにおける市民
 2 民主的な正統化と理由の検討
 3 熟議の制度
 4 マス・デモクラシーと熟議
 5 政治参加と代表の諸形態

33 木部『平等の政治理論』

44 シュトレーク『時間かせぎの資本主義』
時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

55 ポッゲ『なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか』
なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか―世界的貧困と人権

なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか―世界的貧困と人権

62 ホネット『承認をめぐる闘争』
承認をめぐる闘争: 社会的コンフリクトの道徳的文法 (叢書・ウニベルシタス)

承認をめぐる闘争: 社会的コンフリクトの道徳的文法 (叢書・ウニベルシタス)

196 杉田『政治的思考』
政治的思考 (岩波新書)

政治的思考 (岩波新書)

231 田村「熟議民主主義は自由民主主義か?―「熟議システム」概念の射程」『政治思想研究』第13号
Brown, ブラウン『寛容の帝国』
寛容の帝国―現代リベラリズム批判 (サピエンティア)

寛容の帝国―現代リベラリズム批判 (サピエンティア)

Dewey, デューイ『公衆とその諸問題』
公衆とその諸問題: 現代政治の基礎 (ちくま学芸文庫)

公衆とその諸問題: 現代政治の基礎 (ちくま学芸文庫)

Dworkin, ドウォーキン『権利論』『平等とは何か』
権利論

権利論

平等とは何か

平等とは何か

Frankfurt, フランクファート『不平等論』
不平等論: 格差は悪なのか? (単行本)

不平等論: 格差は悪なのか? (単行本)

Habermas, ハーバーマス『事実性と妥当性』『他者の受容』
事実性と妥当性(上)― 法と民主的法治国家の討議理論にかんする研究

事実性と妥当性(上)― 法と民主的法治国家の討議理論にかんする研究

Hirose, 広瀬『平等主義の哲学』
平等主義の哲学: ロールズから健康の分配まで

平等主義の哲学: ロールズから健康の分配まで

Milanovic, ミラノヴィッチ『不平等について』
不平等について―― 経済学と統計が語る26の話

不平等について―― 経済学と統計が語る26の話

Young, ヤング『正義への責任』
正義への責任

正義への責任

サンスティン『熟議が壊れるとき』
熟議が壊れるとき: 民主政と憲法解釈の統治理論

熟議が壊れるとき: 民主政と憲法解釈の統治理論

井出他『分断社会を終わらせる』
分断社会を終わらせる:「だれもが受益者」という財政戦略 (筑摩選書)

分断社会を終わらせる:「だれもが受益者」という財政戦略 (筑摩選書)