待鳥聡史著『アメリカ大統領制の現在−権限の弱さをどう乗り越えるか』(2016)

アメリカ大統領制の現在 権限の弱さをどう乗り越えるか (NHKブックス)

アメリカ大統領制の現在 権限の弱さをどう乗り越えるか (NHKブックス)

誰が大統領になっても直面する深刻なディレンマとは?「最強」に思えるアメリカの大統領にできることは実は少ない。憲法上の権限が小さいからだ。カーターやオバマの失敗、ビル・クリントンの成功を精密かつ躍動的に描いて、大統領を悩ませる「期待と現実のギャップ」を鮮やかに浮き彫りにする。トランプにもヒラリーにも有効な革新的視点を打ち出す力作.

第1章 大統領制の誕生
第2章 現代大統領制のディレンマ
第3章 ディレンマを考える視点
第4章 新大統領に何ができるか
第5章 議会多数党の交代を何をもたらすか
第6章 アメリ大統領制の未来

225 「それ(1960年代までのリベラル・コンセンサスの消滅と、70年代以降の分割政府の常態化した環境における、大統領の多数派形成)を可能にしていたのは、二大政党の内部に一体性が十分に存在しないことであった。選挙制度の特性上、アメリカの政党には執行部からの規律は強く作用しない。そのため、同じ政党に所属していても政策的な立場は異なる、あるいは違う政党に所属していても政策的立場は近い、という議員が多数いる状態であれば、超党派の多数派形成が比較的容易だったのである」