- 作者: 野家啓一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/02/16
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起源と目的をもつ「大文字の歴史」が終焉した後、歴史はいかにして可能かを問う。柳田国男の口承論、解釈学、ナラトロジー、科学史における歴史叙述などの成果を踏まえて物語り行為による歴史を追求し、小さな物語のネットワークとしての歴史の可能性を考察する。単行本を増補し、物語り論的歴史哲学を深化させた新編集版。
序 「歴史の終焉」と物語の復権
第1章 「物語る」ということ―物語行為論序説
第2章 物語と歴史のあいだ
第3章 物語としての歴史―歴史哲学の可能性と不可能性
第4章 物語の意味論のために
第5章 物語と科学のあいだ
第6章 時は流れない、それは積み重なる―歴史意識の積時性について
第7章 物語り行為による世界制作
18「われわれは過ぎ去った知覚的体験そのものについて語っているのではなく、想起された解釈学的経験について過去形という言語形式を通じて語っているのである。「知覚的体験」を「解釈学的経験」へと変容させるこのような解釈学的変形の操作こそ、「物語る」という原初的な言語行為、すなわち「物語行為」を支える基盤にほかならない」
32「むしろ、伝達過程における無限の反復可能性こそが、自己同一的な超越的見の独立自存という物象化的錯視を生み出すのである」
37 フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学 』
89 リクール「どんな物語文も後世の歴史家によって修正を受けるのを免れ得ないのであるから、物語的言述は本質的に不完全である」『時間と物語Ⅰ』
152「その(「〈歴史の終わり〉の終わり」)の弔鐘をヘーゲル歴史哲学に手渡す引導として真っ先に打ち鳴らしてのは、バーゼル大学におけるニーチェの同僚J・ブルクハルトであった」
154「ブルクハルトもまた、弁神論や救済史観によって代表される「大きな物語」を拒絶し、受苦的人間が語る「小さな物語」のネットワークとして歴史を構想しようとしていたのである」
157 歴史哲学テーゼ
(1)過去の出来事や事実は客観的に実在するものではなく、「想起」を通じて解釈学的に再構成されたものである。[歴史の反実在論]
(2)歴史的出来事と歴史叙述とは不可分であり、前者は後者の文脈を離れては存在しない。[歴史の現象主義]
(3)歴史叙述は記憶の「共同化」と「構造化」を実現する言語的制作(ポイエーシス)にほかならない。[歴史の物語論]
(4)歴史は未完結であり、いかなる歴史叙述も改訂を免れない。[歴史の全体論(ホーリズム)]
(5)「時は流れない。それは積み重なる。(Time does not flow. It accumulates from moment to moment)[サントリー・テーゼ]
(6)物語りえないことについては沈黙せねばならない。[歴史の遂行論(プラグマティックス)]
161 大森荘蔵の「想起過去説」
194 オースティン『言語と行為』
- 作者: J.L.オースティン,坂本百大
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- 発売日: 1978/07/01
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210 丸山圭三郎「身分け構造/言分け構造」
215「それゆえ(クリプキの)「因果説」のもともとの目的は、言語の志向的機能を何らかの心的作用に基づける考え方を排し、それを実在論的ないしは物理主義的に説明するところにあった」「しかしわれわれは、指示行為の実在論的・物理主義的解釈は「因果説」を要求するとしても、その逆、すなわち「因果説」を採ることは指示の物理主義的解釈を必ずしも帰結しない、と考える」「つまり「因果説」は、クリプキの奉ずる科学的実在論や本質主義からは相対的に独立だと考えるのである」
308「こうしたヘンペルの大胆な問題提起をきっかけに、英語圏では歴史学方法論をめぐる激しい論争が展開された。E・ネーゲルやK・ポパーらの科学哲学者は科学の方法の統一を掲げてヘンペルの見解を擁護し、それに対してW・ドレイ、I・バーリン、W・ウォルシュらの歴史哲学者は因果的説明には還元できない歴史的説明に独自の契機を、たとえば行為者の意図を考慮した「理由による説明」(ドレイ)のような形で導入することによって、ラディカルな科学主義に対して反論することを試みた。そのような論争状況の中に、「物語り論」 という全く新しい視角から切り込んだのが、A・ダントーの『歴史の分析哲学』(1965年)とW・B・ギャリーの『哲学と歴史理解』(1964年)であった」
318 レイモン・ピカール「ハイ・ナラティヴィスト」と「ロウ・ナラティヴィスト」「一方には〈ハイ〉ナラティヴィストと呼びうる論者がおり―例えばロラン・バルトとヘイドン・ホワイト―彼らは、すべての文化は言語の内部にあるのだから、テクストと世界の間の相関関係を規定することは不可能である、という見解をとる。他方には〈ロウ〉ナラティヴィストがおり―例えばポール・リクールとデイヴィッド・カー―彼らは世界とテクストとの間の関係が複雑であることは認めるが、なおを物語りの中で生起することと世界の中で生起することの間の結びつきを主張する」
320 「以上のような分類からすれば、私自身の立場はロウ・ナラティヴィストのそれに近いものとなる。つまり、物語りを外部をもたない自己完結した「テクストの織物」と見るハイ・ナラティヴィストの見解を退け、物語りを直接的体験(生きられた体験)を境界条件としてもつ外部に開かれたネットワークと見る立場である」
360 リチャード・J. エヴァンズ『歴史学の擁護―ポストモダニズムとの対話』「改めて歴史記述の「客観性」を擁護する論陣」
- 作者: リチャード・J.エヴァンズ,Richard J. Evans,今関恒夫,佐々木龍馬,林以知郎,与田純
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- 作者: 森明子
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- 作者: 小田中直樹
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- 作者: 上村忠男
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- 作者: 高橋哲哉
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- 作者: 高橋哲哉
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