「思想史の方法論、あるいは思想史は何の役に立つのかというぶしつけな問いについて―ケンブリッジの思想家を中心に」

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3「スキナーは、テクストの意味を決定することでテクストを理解する思想史の試みとして(69年の時点で)正統派だとみなされていた2つの方法論を批判した。ひとつは、テクストの意味の最終的な審級は宗教的・政治的・経済的要因といったコンテクストだとする立場であり、もうひとつは、テクストはコンテクストからは自律しており、テクストの意味はテクストそれ自体にしか求めてはならないという立場である。前者ではマルクス主義やL.B.Namierの解釈の立場が示されており…後者の立場の研究は今でも日本を含めた多くの思想業界で行われている」
スキナー『思想史とは何か』

思想史とはなにか―意味とコンテクスト (SELECTION21)

思想史とはなにか―意味とコンテクスト (SELECTION21)

10「第1に、ポーコックは「作者」の概念を理念系として強調することをやめている。第2に、その結果、作者の意図の特権的な探求からかじを切って、諸言語(諸ラング)の歴史、political discourseの歴史が目指されることになる。第3に、スキナーのようにコミュニケーションにおいて成功を前提とするのではなく、ポーコックはテクストの作成・出版に(無限に)後続するコンテクストにおける作者の意図しなかったであろう発語内的力をも視野に入れて、行為の意味、「したこと」の意味を理解しようとする」
ポーコック『徳・商業・歴史』
徳・商業・歴史

徳・商業・歴史