柄谷行人著『近代文学の終りー柄谷行人の現在』(2005)

近代文学の終り―柄谷行人の現在

近代文学の終り―柄谷行人の現在

柄谷行人の新たな展開へ向けた重要な論点をすべて含み、わかりやすい言葉で提示する待望の新著。名講義「近代文学の終り」をはじめ、漱石の文学論をめぐる新原稿、 浅田彰大澤真幸岡崎乾二郎との座談会や新鋭・萱野稔人によるインタビュー他をあわせて収録し、柄谷行人の現在がこれを読めばすべてわかるという一冊です。一貫してラディカルでポジティヴな、岩波版定本著作集以降の思考の全貌を明らかにするクロニクルです。

第1部 近代文学の終り
 翻訳者の四迷―日本近代文学の起源としての翻訳
 文学の衰滅―漱石の『文学論』
 近代文学の終り
第2部 国家と歴史
 歴史の反復について(インタビュー)
 交換、暴力、そして国家(インタビュー)
第3部 テクストの未来へ
 イロニーなき終焉(インタビュー)
 来るべきアソシエーショニズム(座談会)

23「彼ら(漱石正岡子規)は、俳句と俳句から生まれた散文(写生文)を理論的に根拠づけようとする意図を共有していたのである。写生文というとリアリズムと解されやすいのだが、写生文とはむしろ近代的なリアリズムへの批判なのである。写生文には筋がないという特徴のほかに、俳諧に固有のサタイア的な性質をもっている。その意味で、たとえば、漱石の『吾輩は猫である』のような文章こそ典型的に写生文なのである」
トランスクリティーク――カントとマルクス, 柄谷行人

トランスクリティーク――カントとマルクス (岩波現代文庫)

トランスクリティーク――カントとマルクス (岩波現代文庫)