ハーマン・メルヴィル著『書記バートルビー/漂流船』(1853=2015)

ウォール街の法律事務所で雇った寡黙な男バートルビーは、決まった仕事以外の用を言いつけると「そうしない方がいいと思います」と言い、一切を拒絶する。彼の拒絶はさらに酷くなっていき…。不可解な人物の存在を通して社会の闇を抉る、メルヴィルの代表的中篇2作。

320「ウィリアム・シェイクスピアとの内的交流」
320「ホーソーンから受容したものは、カルヴィニズム(ピューリタニズム)に対する暗い懐疑の念、いわゆる「暗黒の力」ということができる。その力はアメリカの主流イデオロギーの基底をなす、このキリスト教宗派の根底に、なにか「欺瞞」のようなものが隠蔽されているのではないか、そしてそのことによって、人間的自然を破壊してゆくのではないか、という疑念によって加速的に強固なものとなってゆく」

バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』

バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』