塚本昌則著『フランス文学講義ー言葉とイメージをめぐる12章』(2012)

フランス文学講義 - 言葉とイメージをめぐる12章 (中公新書)

フランス文学講義 - 言葉とイメージをめぐる12章 (中公新書)

近代小説は19世紀以来、「(かけがえのない)個人」に焦点を当てて発達してきた。物語の主人公が、神や王から、ありふれた個人に替わる時、イメージこそが物語の書き手と読み手をつなぐために必須のものとなったのだ。本書は、文学とイメージのかかわりを意識的に追求してきたフランス近代文学を素材に、私たちが物語を通して「見ている」ものは何か、そして書かれているものは何かを考えるものである。

第1部 知られざる英雄―ロマン主義と眼差しの詩学
 時間の中にいる人間―ジャン=ジャック・ルソー『告白録』
 自由と憂鬱―バンジャマン・コンスタン『アドルフ』
 不透明な“私”―スタンダールパルムの僧院
 社会の中に生きる人間―バルザック「金色の眼の娘」
 夢と覚醒―ネルヴァル「シルヴィ」
第2部 日常生活の発見―リアリズム以降の文学における憂愁の詩学
 “行為”から“印象”へ―フロベール感情教育
 現代生活の詩人―ボードレール『パリの憂愁』
 日常の中の神話―ゾラ『ナナ』
 人口楽園―ユイスマンス『さかしま
 存在の耐えがたい奇妙さ―ヴァレリー「テスト氏との一夜」』
第3部 見えるものと見えないもの―二十世紀文学における写真の詩学序説
 「刺すもの」としての時間―ロラン・バルト『明るい部屋』
 写真の時間―プルースト失われた時を求めて

告白録〈上巻〉 (1958年) (新潮文庫)

告白録〈上巻〉 (1958年) (新潮文庫)

アドルフ (光文社古典新訳文庫)

アドルフ (光文社古典新訳文庫)

パルムの僧院〈上〉 (岩波文庫)

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十三人組物語 バルザック「人間喜劇」セレクション

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火の娘たち (ちくま文庫)

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感情教育〈上〉 (岩波文庫)

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ボードレール全詩集〈1〉悪の華、漂着物、新・悪の華 (ちくま文庫)

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ナナ (新潮文庫)

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さかしま (河出文庫)

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ムッシュー・テスト (岩波文庫)

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新しい小説のために (1967年)

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明るい部屋―写真についての覚書

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失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

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189 ジャック・ルボー『ロンドン大火』火災で死んだ妻が撮影した写真。
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文学が脅かされている―付・現代批評家論五編 (叢書・ウニベルシタス)

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近代文学の終り―柄谷行人の現在

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写真との対話

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文学とは何か

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ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫)

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