櫻井一成「物語と企投としての自己理解 : リクールの「経験の前-物語的構造」概念をめぐって」『美学芸術学研究』(30), 73-112, 2011

リンク
109 註14「リクールは物語のエピソード的次元について」「「物語のエピソード的次元は物語の時間を線的表象の方に引き寄せる。それはいろいろな仕方がある。まず、出来事は『それで、それで』という仕方で語られ、このように語ることで『それからどうした』という問いに答えが与えられるのだが、この語り方は筋actionの諸段階が互いに外在的な関係に立っていることを示唆している。さらに、エピソードは出来事の開かれた連続を構成する。この開かれた連続は、『それで、それで』という語りに『以下同様にして』とつけ加えることを許す。最後に、エピソードは、物理的出来事と人間の出来事に共通の不可逆的時間順序に一致して、延々と引き続いていく」。つまり、エピソード的次元のみからなるストーリーを年代記と呼ぶとすれば、年代記には始めも終わりもなく、出来事はただ時間の経過とともに生起し続けるということである」