会田弘継著『追跡・アメリカの思想家たち』(2008)

追跡・アメリカの思想家たち (新潮選書)

追跡・アメリカの思想家たち (新潮選書)

アメリカの思想は多様である。究極の自由を求めるリバタリアンや、宗教ファンダメンタリズムだけでなく、近代そのものを否定するような保守思想の命脈も、ずっと生き続けてきた。ニューヨークやワシントンだけでは分からない、「深層のアメリカ」の姿がそこにある。実際に思想家たちを訪ね歩いたジャーナリストが、「思想史のドラマ」を鮮やかに描き出す。

第1章 戦後保守思想の源流―ラッセル・カーク(一九一八‐九四)
第2章 ネオコンの始祖―ノーマン・ポドレッツ(一九三〇‐)
第3章 キリスト教原理主義―J・グレシャム・メイチェン(一八八一‐一九三七)
第4章 南部農本主義―リチャード・ウィーバー(一九一〇‐六三)
第5章 ネオコンが利用した思想―レオ・シュトラウス(一八九九‐一九七三)
第6章 ジャーナリズムの思想と機能―H.L.メンケン(一八八〇‐一九五六)
第7章 リベラリズム―ジョン・ロールズ(一九二一‐二〇〇二)
第8章 リバタリアン―ロバート・ノジック(一九三八‐二〇〇二)
第9章 共同体主義―ロバート・ニスベット(一九一三‐九六)
第10章 保守論壇の創設者―ウィリアム・バックリー(一九二五‐二〇〇八)
第11章 「近代」への飽くなき執念―フランシス・フクヤマ(一九五二‐)

79「マクレラン教授は、「実にいやなことを思い出させる」といった顔つきで、シュトラウスとその門下生らを、「あの人たちは人種差別主義者ですよ」と、吐き捨てるように言った」
81「カークの場合は、フランス革命を批判した18世紀のエドマンド・バークにさかのぼって、民主主義の失敗や近代合理主義に懐疑の目を向けた。ウィーバーはさらにさかのぼり、西欧近代の道徳的崩壊の始まりは、14世紀イギリスの中世スコラ哲学者オッカムが切り開いた合理的思考にあるとみた。シュトラウスは、似たような考え方の経路をたどって、近代政治思想の祖であるイタリア・ルネサンス期の政治思想かマキャベリに、近代的思考の失敗の出発点をみて、眼前の精神的荒廃をもたらした近代全体を批判した」
84「シュトラウスの薫陶を受けたアラン・ブルーム

アメリカン・マインドの終焉―文化と教育の危機

アメリカン・マインドの終焉―文化と教育の危機

100 スコープス裁判=猿裁判(モンキー・トライアル)
107
アメリカ自由主義の伝統 (講談社学術文庫)

アメリカ自由主義の伝統 (講談社学術文庫)

110「ニクソンというのはむしろリベラル(進歩派)に分類した方が収まりのいい政治家だ」ジョンソン「偉大なる社会」
190 エドウィン・マクレラン
205「村上春樹翻訳の中心的存在であるジェイ・ルービン元ハーバード大教授、日本ファシズムの文化面からの研究をすすめるカリフォルニア大バークリー校のアラン・タンズマン教授」「靖国論で日本でも最近注目され、筆者の友人でもあるケビン・ドウク・ジョージタウン大准教授も、シカゴ大系列でマクレランの孫弟子にあたる」「作家の水村美苗岩井克人・東大教授夫人)はイェール大での教え子の一人」