酒井邦嘉著『言語の脳科学ー脳はどのようにことばを生み出すか」(2002)

言語に規則があるのは、人間が言語を規則的に作ったためではなく、言語が自然法則に従っているからである―。こうしたチョムスキーの言語生得説は激しい賛否を巻き起こしてきたが、最新の脳科学は、この主張を裏付けようとしている。実験の積み重ねとMRI技術の向上によって、脳機能の分析は飛躍的な進歩を遂げた。本書は、失語症や手話の研究も交えて、言語という究極の難問に、脳科学の視点から挑むものである。

脳‐心‐言語
獲得と学習―人間はチンパンジーとどこが違うか
モジュール仮説―言語はどこまで分けられるか
普遍文法と言語獲得装置―言語学とは何か
言語の脳科学―言語はどのようにして調べられるか
言語の機能局在―言語に必要な脳の場所
言語野と失語―左脳と右脳の謎
自然言語処理人工知能の挑戦
言語入力の脳メカニズム―単語から文へ
文法処理の脳メカニズム―文法は脳にある
手話への招待―音のない言葉の世界へ
言語獲得の謎―言葉はどのようにして身につくか
感受性期とは何か―子どもは言語の天才

26「日本の脳科学を代表する伊藤正男
59 ジャバウォッキー文
68

心の現代哲学

心の現代哲学

69 生成意味論認知言語学は認知脳科学とまったく異なり、言語の独自性を認めない。
認知意味論: 言語から見た人間の心

認知意味論: 言語から見た人間の心

認知言語学入門

認知言語学入門

70「生成意味論は、1970年代末頃までに、社会言語学と本来の生成文法理論へと完全に分極化し、崩壊してしまったと言われている」
抗争する言語学

抗争する言語学

77「外界からの言語情報は、音声の聴覚入力や文字・手話の視覚入力を通して知覚されるのであり、音素の時系列として符号化される。この音素の音韻処理の結果は、すでに長期的に記憶されている情報に基づいて、単語の意味表現として認識される。さらに、単語処理だけではなく文として理解し発話するためには、統語処理が必要となる。統語処理が一般的な記憶処理と独立していることは、行動実験によって支持されている」
「言語という独立したモジュールは、知覚・記憶・意識や思考の各モジュールと相互作用する形で、脳のシステムに組み込まれている」
78「統語論・意味論・音韻論の三つがモジュールが、言語システムを構成している」
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生成言語学入門

生成言語学入門

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新・自然科学としての言語学―生成文法とは何か (ちくま学芸文庫)

新・自然科学としての言語学―生成文法とは何か (ちくま学芸文庫)