北海道大学大学院文学研究科 映像・表現文化論講座編『層ー映像と表現』vol.8 (2015)

層 vol.8―映像と表現

層 vol.8―映像と表現

【特集 映画(シネマ)の大義―映像あるいは政治の特異点
●シネマの大義―『シネキャピタル』再読  廣瀬 純
●討論・シネマの大義をめぐって(レスポンス・レゾナンス)  井上貴翔・廣瀬純・川崎公平・中山昭彦
●映画と政治とカリスマ―黒沢清における存続の政治  川崎公平
●シネマのために一編の特異なフィルムが・・・・・・『カリスマ』とシネマ的次元  中山昭彦

【映画研究特集】
ゴダール、アクション、未来(1)  応雄
●映画から折り返す『或る女』  中村三春
『私の男』の結晶イメージ  阿部嘉昭

【書評】
押野武志・諸岡卓真 編著 『日本探偵小説』を読む―偏光と挑発のミステリ史』  小松史生子
●中村秀之 著 『敗者の身ぶり―ポスト占領期の日本映画』  劉洋

●映画と政治とカリスマ―黒沢清における存続の政治  川崎公平

映画はおそろしい

映画はおそろしい

ゴダール、アクション、未来(1)  応雄
中国映画のみかた (あじあブックス)

中国映画のみかた (あじあブックス)

『私の男』の結晶イメージ  阿部嘉昭
近藤龍人, 撮影監督
視覚的人間―映画のドラマツルギー (岩波文庫 青 557-1)

視覚的人間―映画のドラマツルギー (岩波文庫 青 557-1)

フェイドアウト、フレーム・イン・フレーム、発語、欠性、縦構図/横構図、遠望
136「淳悟の後頭部をバックに、花=二階堂ふみの最もうつくしいクロースアップが定着される。《「薄目、半開の唇」+「法悦」+「流氷接岸」》という加算数式のうえに、「血まみれ」の項が足され、そこへさらにドゥルーズのいう感情イメージの数々が、判別不能性をともない、ひとつの場所=顔貌へ立体的・結晶的に脈動するのだ。具体的には花の薄目の表情に、法悦とは次元の異なる意志が奔りだすのだが、それは憤怒とも絶望とも驚愕ともとらえられるものー一人格に乗せれば、悲劇性、崇高な表情とよぶしかないものだろう。これが本作の結晶イメージの極点だ」