矢尾板俊平「東北地方の復興に向けた経済政策に関する考察―復興のための再分配型経済モデルから自立型経済モデルに向けて―」『中央大学経済研究所年報』, 第43号, pp.257-271

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本稿の目的は2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興に向けた経済政策について、筆者が2011年5月以降から宮城県石巻市岩手県陸前高田市の被災地の現場での活動から得た知見を踏まえて検討することにある。
 まず被災地域の経済について、日本銀行仙台支店が公表する「全国企業短期経済観測調査結果-東北地区6県-」を用いて「業況」を確認した。次に岩手県および宮城県の労働局が公表する「一般職業紹介状況」を用いて雇用の状況を確認した。
 これらのデータより、今後の東北経済において非製造業の中小中堅企業と沿岸部の経済の2点に課題があることがわかった。そして若干の政策提言として、沿岸部の地元企業の競争力を強化するためのソフト面での対策、他地域からの起業を誘致することによる雇用の創出、ソーシャルビジネスによる新市場の創出の3点を指摘した。