コリン・クラウチ著『ポスト・デモクラシー―格差拡大の政策を生む政治構造』(2003=2007)

ポスト・デモクラシー―格差拡大の政策を生む政治構造

ポスト・デモクラシー―格差拡大の政策を生む政治構造

今日、西欧ではポスト・デモクラシーと呼ぶ体制が進行し、民主主義が衰退に向かっている。労働組合が弱体化し、企業の利益代表と政府の相互交渉によって政治が形成されて、権力と富の再分配政策はとても望めそうにない。少数の政治エリートが大衆の要求の管理と操作法を習得し、選挙は見世物的なゲームと化した。また公共サービスのブランド化。しらけた大衆は社会的上昇のため教育に異常な関心を示している。本書は富裕者優遇政策を生む構造的力を解明し、企業の政治支配防止、営利目的化しない公共サービス、政党の再生、新たなアイデンティティ形成など、その打開策を探る。格差拡大の政策が進む日本の政治状況にも大きな教訓となるヨーロッパ最新の思索。

1 なぜポスト・デモクラシーか?
2 グローバル企業―ポスト・デモクラシーの世界の鍵を握る制度
3 ポスト・デモクラシーにおける社会階級
4 ポスト・デモクラシー時代の政党
5 ポスト・デモクラシーと市民的諸権利の商品化
6 結び―私たちはここからどこに向かうのか?