上野修著『デカルト、ホッブズ、スピノザ 哲学する十七世紀』(1999→2011)

デカルト、ホッブズ、スピノザ 哲学する十七世紀 (講談社学術文庫)

デカルト、ホッブズ、スピノザ 哲学する十七世紀 (講談社学術文庫)

近代哲学の祖とされ、「心身二元論」に拠ったデカルト。国家契約説をとなえ、「万人の万人に対する戦争」で知られるホッブズ。「神即自然」を主張したスピノザ。十七世紀の哲学シーンを彩る三人の思索は、動乱期のヨーロッパを生きたゆえの魅力にあふれている。神、国家、物体と精神…、根本問題をめぐる三様の思索を、鮮やかに浮き彫りにする。

ものを言う首――序にかえて
残りの者――あるいはホッブズ契約説のパラドックススピノザ
意志・徴そして事後――ホッブズの意志論
スピノザと敬虔の文法――『神学政治論』の「普遍的信仰の教義」をめぐって
スピノザの聖書解釈――神学と哲学の分離と一致
われらに似たるもの――スピノザによる想像的自我およびその分身と欲望
精神の眼は論証そのもの――スピノザ『エチカ』における享楽と論証
デカルトにおける物体の概念
無数に異なる同じもの――スピノザの実体論
スピノザの今日、声の彼方へ