高階秀爾著『世紀末芸術』(1963→1981→2008)

世紀末芸術 (ちくま学芸文庫)

世紀末芸術 (ちくま学芸文庫)

メタモルフォーズする官能の女性像、流麗なアラベスク模様、象徴的な動植物モティーフ―。アールヌーヴォーやユーゲントシュティールなど「世紀末芸術」は、19世紀末、爛熟の極に達した西欧文化の中から、一斉に花ひらいた。混沌とした転換期の鋭敏な感受性が、華麗な装飾性や、幻想的な精神世界などを追求しはじめたのだ。そこにはすでに、抽象表現の台頭、諸芸術の綜合、芸術言語の国際化等、20世紀芸術にとって大きな意味をもつ諸問題が提起されていた。新時代への「美の冒険」でもあった芸術運動を、絵画や彫刻、建築、装飾、デザインの分野にわたって捉える。

序章 世紀末芸術とは何か
 転換期の芸術
 新しい芸術理念
 頽廃と新生
第2章 世紀末芸術の背景
 社会的風土
 機械文明の発達
 ジャーナリズムの繁栄
 遙かな国・遠い国
第3章 世紀末芸術の特質
 華麗な饗宴
 魂の深淵
 よく見る夢
 音楽性と文学性
第4章 世紀末芸術の美学
 象徴主義
 綜合主義
 科学主義
結び 二十世紀への道