- 作者: 高階秀爾
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/07/09
- メディア: 文庫
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メタモルフォーズする官能の女性像、流麗なアラベスク模様、象徴的な動植物モティーフ―。アールヌーヴォーやユーゲントシュティールなど「世紀末芸術」は、19世紀末、爛熟の極に達した西欧文化の中から、一斉に花ひらいた。混沌とした転換期の鋭敏な感受性が、華麗な装飾性や、幻想的な精神世界などを追求しはじめたのだ。そこにはすでに、抽象表現の台頭、諸芸術の綜合、芸術言語の国際化等、20世紀芸術にとって大きな意味をもつ諸問題が提起されていた。新時代への「美の冒険」でもあった芸術運動を、絵画や彫刻、建築、装飾、デザインの分野にわたって捉える。
序章 世紀末芸術とは何か
転換期の芸術
新しい芸術理念
頽廃と新生
第2章 世紀末芸術の背景
社会的風土
機械文明の発達
ジャーナリズムの繁栄
遙かな国・遠い国
第3章 世紀末芸術の特質
華麗な饗宴
魂の深淵
よく見る夢
音楽性と文学性
第4章 世紀末芸術の美学
象徴主義
綜合主義
科学主義
結び 二十世紀への道