クリスチャン・メッツ著『映画における意味作用に関する試論 映画記号学の基本問題』(1968=2005)

映画における意味作用に関する試論―映画記号学の基本問題 (叢書 記号学的実践)

映画における意味作用に関する試論―映画記号学の基本問題 (叢書 記号学的実践)

フランスの映画理論家クリスチャン・メッツの初期の代表的著作。1964年から68年に書かれた論文を収める。それらはR・バルトの試みを引き継ぎ、映画に構造言語学の概念を導入することで「映画記号学」を創始しようとするものであった。メッツ以前にも映画を言語活動とみなそうとする試みは存在していたが、その多くは映画を「言語(ラング)」と同一視して、映像を語に、その連なりを文に対応させようとする類いのものであった。これに対してメッツは64年の「映画 言語か言語活動か」で、映画は音素にも語にも分節できず「二重分節」を欠いているのであって、厳密な意味での「言語」ではなく、「言語なき言語活動(ラングなきランガージュ)」であるというテーゼを提出した。映像はそれ自体がすでにひとつないし複数の文なのであって、それらが集まってより大きな集合体が構成される。こうして映画の記号学は、映像の形態論ではなく連辞論を探求することになる。それは映像の配列を八つのカテゴリーに分類した、名高い「大連辞関係」へと結実し、ジャック・ロジェの『アデュー・フィリピーヌ』(1962)の分析に適用されている。こうした試みは『言語活動と映画』(1971)や『映画記号学の諸問題』(1972)へと引き継がれる。その後メッツは映画の精神分析や映画における言表行為の問題にも取り組んだ。G・ドゥルーズらによって批判されることもあったが、メッツの著作はフランス本国のみならず世界の映画研究に大きな影響を与え、その基礎となっている。

1 映画への現象学的アプローチ
 映画における現実感について
 叙述的なものの現象学のためのいくつかの考察
2 映画記号学の諸問題
 映画―言語か言語活動か
 映画記号学の問題点 ほか
3 映像の帯の連辞的分析
 ジャック・ロジエの映画『アディユ・フィリピーヌ』における「自律的線分」一覧表
 ジャック・ロジエの映画『アディユ・フィリピーヌ』大連辞関係研究
4 “現代”映画―理論的諸問題
 現代映画と叙述性
 フェリーニ『81/2』の「入れ子」構造 ほか

36 3

第三の意味―映像と演劇と音楽と

第三の意味―映像と演劇と音楽と

36 638 一 ジルベール・コーエン=セア「フィルム的事実=映像の組み合わせの一定の体系によって、世界や精神や想像力、または人間や事物の生を表現すること/シネマ的事実=生によって提供され、映画作品によってそれなりの形を与えられた素材である記録、感覚、観念、感情などの資産を、人間集団の中に流通させるところにある」
フィルモロジー―映画哲学 (1980年) (エピステーメー叢書)

フィルモロジー―映画哲学 (1980年) (エピステーメー叢書)

57 3
フィギュール〈1〉 (叢書 記号学的実践)

フィギュール〈1〉 (叢書 記号学的実践)

60 2
物語のディスクール―方法論の試み (叢書記号学的実践 (2))

物語のディスクール―方法論の試み (叢書記号学的実践 (2))

Ⅰまで。