絓秀実著『1968年』(2006)メモ

1968年 (ちくま新書)

1968年 (ちくま新書)

先進国に同時多発的に起こった多様な社会運動は、日本社会を混乱の渦に巻き込んだ。その結果生まれたウーマン・リブ(→フェミニズム男女共同参画)、核家族化(=儒教道徳の残滓の一掃)、若者のモラトリアム化(→「自分さがし」という迷路)、地方の喪失(=郊外の出現)、市民の誕生と崩壊、「在日」との遭遇などの現象は相互に関連しながら、現代社会の大きな流れを形作っている。前史としての“60年安保”から、ベ平連全共闘運動を経て三島事件連合赤軍事件に終わるまでの“激しい時代”を、新たに発掘した事実を交えて描く現代史の試み。

第1章 先進国の同時多発的現象
 現代は六八年に規定された時代である
 資本主義の脱構築的な力に依拠する六八年
第2章 無党派市民運動と学生革命
 ソ連の「平和共存」路線とベ平連
 米軍脱走兵を援ける三島由紀夫の「友人」 ほか
第3章 「華青闘告発」とはなにか
 マイノリティーによる対抗運動の登場
 マイノリティー運動がかかえる難問
第4章 ヴァーチャルな世界のリアルな誕生
 右翼と左翼の奇妙なコラボレーション―太田竜から村上春樹
 偽史的想像力のもう一つの源流―吉本隆明中野重治
第5章 内ゲバ/連合赤軍事件/革命
 リンクする華青闘告発と内ゲバの「論理」
 レーニン主義の廃墟とグラムシ主義の廃墟

157 華僑青年闘争委員会(華青闘)告発

台湾/日本―連鎖するコロニアリズム

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194
物語と歴史

物語と歴史

歴史を逆なでに読む

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過ぎ去ろうとしない過去―ナチズムとドイツ歴史家論争

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198 太田竜竹中労の芸能レポート、平岡正明のジャズ評論「世界革命浪人(ゲバリスタ)」、五木寛之戒厳令の夜』『風の王国』などで偽史へ接近、「「異端」=「サブ」であることが、それ自体で真実を保証するはずだという新左翼のスタンス」八切止夫254
南島イデオロギーの発生―柳田国男と植民地主義 (岩波現代文庫)

南島イデオロギーの発生―柳田国男と植民地主義 (岩波現代文庫)