牧野智和著『自己啓発の時代 -「自己」の文化社会学的探究』(2012)メモ

自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究

自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究

自己啓発書にはその時代ごとの価値観・社会意識が凝縮されている。自己啓発書ベストセラー、就職対策書、女性誌ビジネス誌の分析から、いつのまにか自分探し・自分磨きへと誘われてしまう現代社会のメカニズムを明らかにする。なぜ自己啓発書が売れているのか、なぜ「◯◯力」が次々と登場するのか、複眼的に考えたい人のために。

第一章 「自己」の文化社会学に向けて
 1 「自己をめぐる問い」と社会
 2 「自己をめぐる問い」への文化社会学的アプローチ
 3 「自己の体制」
 4 後期近代と「自己の再帰的プロジェクト」
 5 「自己のテクノロジー
 6 自己啓発メディアという「自己のテクノロジー
 7 本書の社会学的意義
 8 分析のスタンス
第二章 自己啓発書ベストセラーの戦後史―戦後日本における「自己のテクノロジー」の系譜
 1 自己啓発書ベストセラーについて
 2 哲学的思索、記憶術、「心がまえ」と精神論―戦後から一九六〇年代まで
 3 失われた「心」の模索―一九七〇年代から一九九〇年代前半
 4 自己啓発書ベストセラーの分岐点―一九九五年から二〇〇二年
 5 超越的法則論の増殖、仕事術・脳科学ブーム、自己啓発の一般化―二〇〇三年以降
 6 「自己の体制」をめぐる検討課題の提出
第三章 「就職用自己分析マニュアル」が求める自己とその社会的機能
 1 大学生の就職活動における「自己分析」について
 2 「就職用自己分析マニュアル」について
 3 自己分析の定着と目的論の濃密化
 4 過去・現在・未来から「本当の自分」を導出する
 5 自己を客観的に見直し、「輝き」を演出する
 6 自己分析の終着点
 7 自己分析が求める自己とその社会的機能
第四章 女性のライフスタイル言説と自己―ライフスタイル誌『an・an』の分析から
 1 女性向け自己啓発メディアへの接近
 2 ライフスタイル誌『an・an』の特性と資料選定・分析の視点
 3 一九八〇年代以前―変えられる外見、変えられない内面
 4 一九九〇年代前半―心理テストが構築する「本当の自分」
 5 一九九〇年代後半―内面の技術対象化
 6 二〇〇〇年代―あらゆる手段を用いて「私」に取り組む
 7 自己を語る権能の所在―生き方関連特集における記事登場者の分析
 8 自己啓発的言説の社会的機能に関する中間的考察
第五章 ビジネス誌が啓発する能力と自己―ビジネス能力特集の分析から
 1 「力」の増殖とそれを捉える視点
 2 ビジネス誌において啓発される「力」
 3 ビジネス誌において啓発される「自己の自己との関係」
 4 「力」をめぐる権能の偏在・流動
 5 今日的通俗道徳のダイナミズム
終章 自己啓発メディアが創り出す「自己の体制」
 1 内面の技術対象化
 2 自己啓発メディアの社会的機能
 3 自己をめぐる権能について
 4 自己啓発メディアが創り出す「自己の体制」
 5 本書の「効用」