金子勇著『社会分析 -方法と展望』(2009)メモ

社会分析―方法と展望 (叢書・現代社会学)

社会分析―方法と展望 (叢書・現代社会学)

鋭い時代感覚を武器に、標準的で実証的な社会学をめざしてきた著者の「社会診断」論。鮮明な方法論と正確に「観察された事実」に基づくオリジナルな「社会分析」は他に例をみない。社会学分野の広さと深さを自らの個性豊かな研究で明らかにして、その成果を次世代に伝えようと試みた。

1 方法と先行研究
 社会分析の視点と方法
 社会学の発想力
 文献研究から学説を応用する
2 現状と展開
 歴史的素材で時代を分析する
 二次資料からの社会分析
 行政資料による地域福祉分析
 産み育てる社会環境の分析と対策
 文献研究と調査結果の融合
 社会分析研究の古典

15「この20年間に日本社会への社会学の発信力が低下したとすれば、古典読解だけしか行わない学説史家が増えると同時に、自らが生きる時代への関心を持たず理論不在のまま狭い範囲の現状調査の実施が増え、さらに肉体論や言説分析など非社会的なテーマに構成の兆しが見えるところに原因がある」!
56 きだみのる

気違い部落周游紀行 (冨山房百科文庫 31)

気違い部落周游紀行 (冨山房百科文庫 31)

74「高田(保馬)の「資本家的生産は其進行中に過度なる個人主義を植えつけた、それが必然的に出生率の減少を誘致した」という指摘は卓見であり、現代における少子化対策に関わるフェミニズムの発言を突くものである」「それを等閑に付した「おひとりさまの老後」ではどうにもならない」!
78 高田の人口方程式 生活標準×人口=分配係数×生産力
196「しかしその20年後には、日英向上に関するドーアの正確な科学的比較研究で、批判されてきた集団主義個人主義の延長線上にあるむしろ社会全体のゴールである、という新鮮な少数意見も生み出した(Dore 1973=1993)」
イギリスの工場・日本の工場―労使関係の比較社会学〈上〉 (ちくま学芸文庫)

イギリスの工場・日本の工場―労使関係の比較社会学〈上〉 (ちくま学芸文庫)

198 ウェルマンのコミュニティ問題論(Wellman 1979=2006)
リーディングス ネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本

リーディングス ネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本

247 鈴木栄太郎、奥井復太郎、磯村英一
249「戦後日本社会学の混迷の原因は、新明正道流の「綜合社会学」の呪縛から逃れえず、依然としての19世紀的見解の墨守に原因を求める指摘がそれである(富永健一)」
250「理論社会学における「高田ー戸田ー鈴木のトライアングル」に匹敵する都市社会学の「鈴木ー奥井ー磯村のトライアングル」でも、奥井や磯村には都市社会学からの逸脱が読み取れる」