阪田雅裕著『政府の憲法解釈』(2013)メモ

政府の憲法解釈

政府の憲法解釈

政府の憲法解釈とは何か,これまで憲法の各条文について国会・行政の場でどのような議論が交わされてきたのかを,国会議事録・答弁書等を資料として引用し,元内閣法制局長官である著者が詳解する。憲法改正を語る前に理解すべき,政府の憲法解釈を知るための書。

目次
序 政府の憲法解釈の意義
第1章 戦争の放棄
 1 解釈の骨格
 2 用語の意味
 3 自衛力の限界と自衛権の発動要件
 4 集団的自衛権
 5 政府解釈に対する異論と芦田修正
 6 国連活動への参加
 7 他国軍隊支援の限界─武力行使との一体化
 8 海賊への対処
第2章 統治機構
 1 国会
 2 内閣
 3 司法
 4 財政
 5 天皇
 6 地方自治
第3章 基本的人権
 1 有事立法と基本的人権
 2 政教分離
 3 財産権の保障
第4章 憲法改正・その他
 1 政府の憲法改正原案提出権
 2 憲法国際法の優劣関係
 3 憲法尊重擁護義務
附 内閣法制局
 1 沿革
 2 機構と所掌事務

15「後述(41)するように、政府は、個別的自衛権の行使が状況いかんでは公海・公空はもとより外国の領域にも及び得るとし、第9条によって国外での武力行使が一切禁止されていると解しているわけではない」
16「政府の第9条解釈は」自衛隊が合憲であること、しかし原則として海外での武力行使は許されないことを土台として構築されている。
21「重要なことは、我が国、つまり自衛隊が仮に実力の行使に及んだとしても、その相手方が国又は国に準ずる組織に当たらない場合、典型的には盗賊集団などを相手方とするようなときには、その実力行使、すなわち武器を使用しての対処行動が第9条との関係で問題になることはないという点である」
45「自衛のための…」と「交戦権の行使」の線引き問題。
54「第9条の下では、自国が武力攻撃を受けていない状況下で我が国が同盟国等のために武力行使をすることは許されない、とする政府の憲法解釈は、集団的自衛権の定義について議論があった当時から変わっていない」