原武史著『団地の空間政治学』(2012)メモ

団地の空間政治学 (NHKブックス)

団地の空間政治学 (NHKブックス)

高度成長期に燦然と輝いていた団地文化とは何だったのか?香里団地、ひばりケ丘団地、常盤平団地など、東西の大団地をフィールドワークし、埋もれた資史料を調査した著者が、躍動する団地自治の実態と住民の革新的な政治意識を明らかにする。さらに沿線の鉄道からの影響や、建築・設計上の特徴をも考察し、団地をアメリカ的ライフスタイルの典型と捉える従来の史観に再考を迫る。今日の団地の高齢化や孤独死問題が生じた淵源を、コミュニティ志向の衰退と個人主義台頭の歴史に探り、知られざる政治思想史の一断面を描出する画期的論考。

はじめに 政治思想史から見た団地
第1章 「理想の時代」と団地
第2章 大阪―香里団地
第3章 東京多摩―多摩平団地とひばりケ丘団地
第4章 千葉―常盤平団地と高根台団地
第5章 団地の時代は終わったか

p.53「ソ連や東欧の団地は、社会主義の理念にもとづき、はじめから労働者階級のための住宅として建てられた。一方、日本の「団地族」は、社会主義は信奉してはいても、実際には社会学者の橋本健二が指摘するように、労働者階級とは区別された新中間階級に属していた。公団の団地はたとえ賃貸であっても、新中間階級を可視化する役割を果たしていたのである」

p.217
完本 美空ひばり (ちくま文庫)

完本 美空ひばり (ちくま文庫)