見田宗介著『現代社会はどこに向かうか−高原の見晴らしを切り開くこと』(2018)

曲がり角に立つ現代社会は、そして人間の精神は、今後どのような方向に向かうだろうか。私たちはこの後の時代の見晴らしを、どのように切り開くことができるだろうか。斬新な理論構築と、新たなデータに基づく徹底した分析のもとに、巨大な問いに改めて正面から応答する。前著から約十年、いま、新しい時代を告げる。

はじめに
序章 現代社会はどこに向かうか――高原の見晴らしを切り開くこと
 1 未来の消失? 現代の矛盾
 2 生命曲線/歴史曲線.「現代」とはどういう時代か
 3 グローバル・システムの危機.あるいは球の幾何学――情報化/消費化社会の臨界
 4 世界の無限/世界の有限.軸の時代Ⅰ/軸の時代Ⅱ
 5 高原の見晴らしを切り開くこと
一章 脱高度成長期の精神変容――近代の矛盾の「解凍」
 1 脱高度成長期の精神変容.データと方法
 2 「近代家族」のシステム解体
 3 経済成長課題の完了.「保守化」
 4 魔術の再生.近代合理主義の外部に向かう触手たち
 5 〈自由〉〈平等〉対〈合理性〉.合理化圧力の解除,あるいは減圧
 6 近代の理念と原則の矛盾.封印と「解凍」.高原展望
 補1 合理性,非合理性,メタ合理性
 補2 生活スタイル,ファッション,消費行動――「選ばれた者」から「選ぶ者」へ
二章 ヨーロッパとアメリカの青年の変化
 1 ヨーロッパ価値観調査/世界価値観調査.データと方法
 2 幸福の高原と波乱
 3 「脱物質主義」
 4 共存の地平の模索
 5 共存の環としての仕事
 補 〈単純な至福〉
三章 ダニエルの問いの円環――歴史の二つの曲がり角
四章 生きるリアリティの解体と再生
五章 ロジスティック曲線について
 1 グローバリゼーションという前提――人間にとってのロジスティック曲線1
 2 一個体当たり資源消費量,環境破壊量の増大による加速化――人間にとってのロジスティック曲線2
 3 テ クノロジーによる環境容量の変更.弾力帯.「リスク社会」化.不可能性と不必要性――人間にとってのロジスティック曲線3
六章 高原の見晴らしを切り開くこと
 1 総理の不幸
 2 フリュギアの王
 3 三千年の夢と朝の光景
 補 欲望の相乗性
補章 世界を変える二つの方法
 1 ベルリンの壁.自由と魅力性による勝利.
 2 二〇世紀型革命の破綻から何を学ぶか.卵を内側から破る.
 3 胚芽をつくる.肯定する革命 positive radicalism.
 4 連鎖反応という力.一華開いて世界起こる.
あとがき