木庭顕著『笑うケースメソッドⅡ 現代日本公法の基礎を問う』(2017)

[笑うケースメソッドII]現代日本公法の基礎を問う

[笑うケースメソッドII]現代日本公法の基礎を問う

公法の根底にある、近代ヨーロッパ概念である政治システムとデモクラシー。そしてそれらが全面的にギリシャ・ローマの観念体系に負うことを踏まえ、人権概念へと迫る。東大法科大学院選択科目「公法・刑事法の古典的基礎」公法部分の[笑うケースメソッド]。憲法行政法の授業で見知った有名判例が、目からウロコの姿となって現れる。

予備的討論―夜叉ヶ池の龍神、その正体は?
政治制度の構築―背景の色を変えれば違って見える
言論・表現の自由―天上界にもミニマ・フューシカ
政教分離―天地が岐れる時
個人の尊厳―デモクラシーの礎石
精神の自由―文化の極点
生存権―命あっての物種
公共空間内の物的規律―商売も哲学のうち
公共空間の領域展開―市民社会の運命はあなたに懸かっているのですよ
領域上の擬制的公共空間―横一列!
直接的領域規律―環境は公共前公共
デモクラシーの審級―江戸の敵は長崎で討つ
財政―あげたんじゃないよ、あずけただけなんだから

12 福岡『国家・教会・自由』ホッブズスピノザ

国家・教会・自由―スピノザとホッブズの旧約テクスト解釈を巡る対抗

国家・教会・自由―スピノザとホッブズの旧約テクスト解釈を巡る対抗

16 長谷部「リベラル・デモクラシーの基底にあるもの」『憲法学のフロンティア』
憲法学のフロンティア

憲法学のフロンティア

16 樋口『憲法Ⅰ』「日本国憲法がいかなる政治システム概念の文脈に立つか」
憲法1(現代法律学全集 2)

憲法1(現代法律学全集 2)

21 フィンリー『オデュッセウスの世界』
オデュッセウスの世界 (岩波文庫)

オデュッセウスの世界 (岩波文庫)

22「政治的決定はまったくもって自由のためだけになされる。権力や不透明の解体のためにのみなされる」「実力を独占し強制をおこないうる近代国家と対照的に、実力装置をいっさい有しません」
30 テオドール・モムゼン「ローマの政治システムを法学的に捉える、その息を呑む厳密さは、依然としてテオドール・モムゼンの独壇場であり」「「彼の著作を字引きのように参照せよ」ということになる」
ローマ史(上) 共和政の成立と地中海諸民族の闘争

ローマ史(上) 共和政の成立と地中海諸民族の闘争

39「19〜20世紀の粗雑なデモクラシー理解を克服するためには、こうしてまず判断手続きの二段構えという側面を発達させる、つまり占有原理を借りることが有用だったのではないか。とくにデモクラシーの判断のなかで中枢的な位置を占める、孤立した個人の自由、つまり人権のためには、占有と人身保護の古来密接な関係が決定的に重要なのではないか」
52「つまりテリトリーの上の特定の事実が先験的な意義を有するように組み直したのです。というもの、政治を形成するためには下に隙間を作らせずにテリトリーに足を付けなければならない。隙間があるとそこに権力が発生し、政治システムはボスの談合組織ないし利益集団の調整組織と変わらなくなるからです」
55「ギリシャ・ローマの事物を貫く基礎的コードは都市と領域の二元的構成で、自由な言語のみが支配する政治的空間たる都市と、これがしっかりと根を下ろすテリトリー、政治システム形成後、都市との対比で領域と呼ばれる空間ですね、これが厳密に区別される」
69 小島『制度と自由ーモーリス・オーリウによる修道会教育規制法律批判をめぐって』72 宮沢『憲法Ⅱ新版』
憲法〈2〉 (1971年) (法律学全集〈4〉)

憲法〈2〉 (1971年) (法律学全集〈4〉)

86 芦部『憲法学Ⅱ』
憲法学 2 人権総論

憲法学 2 人権総論