金子勇編著『講座・社会変動10 計画化と公共性』(2017)

「講座・社会変動」全10冊の最終巻にふさわしく、21世紀日本社会システムの構造と機能を理論的に明らかにした。社会システム設計の軸を「公共性」に求め、地域社会学、災害研究、家族論、政策科学の各領域から多面的に論じた。日本と世界のゼーション現象の個別的研究を活用して、新しい社会システムを先取りする観察された事実を取り込み、それらを統合化したマクロ社会学の現代的到達点を示している。

はしがき

序 章 計画原理としての持続可能性とユニバーサル基準(金子 勇)
1 計画理論
2 計画理論とサステナビリティ
3 新しい価値基準としての公共性


第1部 公共性理論と計画の評価

第1章 第二の近代における公共性と正義(友枝敏雄)
1 20世紀社会から21世紀社会へ
2 市民社会と公共性
3 市民社会と正義
4 正義から公共性へ

コラム 隣接領域との対話[社会工学]集合行為ジレンマと市民的公共性(坂野達郎)

第2章 政策評価とソーシャル・ガバナンス(三重野卓)
1 問題設定
2 指標化をめぐる状況
3 幾つかの概念枠組み
4 ガバナンスと政策評価
5 政策評価の方向性

第3章 社会的共通資本と都市社会の公共性(金子 勇)
1 社会学にみる「私性」と「公共性」
2 公共性と公共財
3 社会的共通資本と地球温暖化問題
4 公共性と共同性

コラム 隣接領域との対話[社会工学]反テイラリズムの公共組織改革(坂野達郎)


第2部 災害,地域,家族をめぐる共同性と公共性

第4章 災害対策と公共性(田中重好)
1 災害は公共性が高い
2 災害対策基本法と公共性
3 災害復興と公共性
4 官の公共性

コラム 隣接領域との対話[公衆衛生学]健康増進計画と公衆衛生学的アプローチ(青山泰子)

第5章 モダニティ・共同性・コミュニティ──「生きられる共同性」再論(吉原直樹)
1 産業主義的生産様式の機制──イリイチを読む
2 モダンの時間──空間と「生きられる共同性」
3 グローカル化とカタストロフのなかの産業主義的生産様式
4 「生きられる共同性」の脱埋め込みと再埋め込み
5 「創発的なもの」,そして節合のメカニズム
6 サロンからみえてくるもの

コラム 隣接領域との対話[社会工学]ミニ・パブリックスは、討議民主主義実現の手段になりうるか(坂野達郎)

第6章 地域コミュニティにおける排除と公共性(松宮 朝)
1 地域コミュニティにおける排除
2 コミュニティと排除をめぐる理論
3 外国籍住民が増加する公営住宅と地域コミュニティ
4 愛知県西尾市の地域コミュニティと外国籍住民
5 地域コミュニティにおける排除への対抗

コラム 隣接領域との対話[NPO研究]NPOによる計画化と公共性の創出──北九州でのホームレス支援を例に(稲月 正)

第7章 家族研究と公共性…米村千代
1 家族研究における公共的視点
2 家族研究の実践的課題
3 家族と公共性
4 社会と家族の境界設定をめぐって
5 あるべき家族を構想することの両義性

結城浩著『数学文章作法 基礎編』(2013)

論文・レポートの執筆、教科書・プリントの作成など、数式や数学用語を用いた文章を書く機会は案外多い。しかし、数式の表す内容にあいまいさがないからといって、その文章自体がわかりやすいとは限らない。“読者のことを考える”という原則に立って書くなら、もっと明解でもっとよく伝わる文章になるかもしれない。『数学ガール』シリーズを執筆し、文章の読みやすさに定評のある著者が自らの経験で培ったノウハウを伝授。本書「基礎編」では文章の順序、数式・命題の書き方、わかりやすい例の作り方、目次・索引の作り方などについて、豊富な具体例をもとに解説する。

第1章 読者
第2章 基本
第3章 順序と階層
第4章 数式と命題
第5章 例
第6章 問いと答え
第7章 目次と索引
第8章 たったひとつの伝えたいこと