社会

吉見俊哉著『アフター・カルチュラル・スタディーズ』(2019)

アフター・カルチュラル・スタディーズ 作者:吉見 俊哉 発売日: 2019/07/24 メディア: Kindle版 〈文化〉と〈政治〉をめぐる問いを深化させてきたカルチュラル・スタディーズの大いなる蓄積の後に、どのような批判的な知を構築し直せるのか? そして、新自由…

牧野智和「「自己」のハイブリッドな構成について考える」『ソシオロゴス』2017年, 41号, p.36-57

【pdf】 自己のあり方、その行為者性のあり方に「モノ」はいかに関係するのか。本稿ではアクターネットワーク理論(ANT)と統治性研究を手がかりにして、自己とモノ、人間と非人間の関係性を考察する視点の錬磨を試みるものである。人間と非人間の関係は科学…

ジョナサン・クレーリー著, 石谷治寛訳『24/7 -眠らない社会』(2013=2015)

24/7 :眠らない社会 作者:ジョナサン・クレーリー 発売日: 2015/03/12 メディア: 単行本 資本主義は睡眠を終わらせる。現代社会の「知覚の危機」を考察する長編エッセイ。いまや情報管理社会は、人々の睡眠時間をコントロールするまでに至っている。人々は24…

宮入恭平著『ライブハウス文化論』(2008)

ライブハウス文化論 (青弓社ライブラリー 53) 作者:宮入 恭平 発売日: 2008/05/23 メディア: 単行本 夢を追う若者たちから団塊世代までが集うライブハウス。ロック喫茶・ジャズ喫茶に出自をもち、1960年代にはカウンター・カルチャーを支える一方で、80年代…

鳩飼未緒「日活ロマンポルノと女性観客ー『実録阿部定』が示す親和性」『映像学』2016年, 96巻, p.27-47

【本文】 本稿は日活ロマンポルノの田中登監督作、『実録阿部定』(1975 年)を論じる。異性愛者の男性観客をターゲットに製作され、同時代的にはほぼ男性のみに受容された本作が、想定されていなかった女性観客との親和性を持ち、家父長主義的なジェンダー…

宮入恭平著『ライブカルチャーの教科書ー音楽から読み解く現代社会』(2019)

ライブカルチャーの教科書 音楽から読み解く現代社会 作者:恭平, 宮入 発売日: 2019/07/29 メディア: 単行本 日本の音楽シーンを牽引するライブ文化。その要点を読み解くために「メディア」「産業」「法律」「教育」などの視点を解説したうえで、フェスやレ…

井上宏「大阪の「笑いの文化」について : 大阪人の生活文化と笑い」『フォーラム現代社会学』2006年, 5巻, p.57-68

【本文】 大阪とはどんな街なのか、「文化」の側面から考えるとき、「笑いの文化」を抜きにして大阪を論じることはできない。大阪では、漫才や落語、喜劇などの「笑いの芸能文化」が盛んであるばかりでなくて、大阪人の生活のなかに、暮らしの仕方の中に「笑…

圓田浩二「ポケモンGO大規模イベントで地域興し・観光誘致は可能か? : ポケモンGOの社会学(5) 」『沖縄大学法経学部紀要』no.30, p.25-39

【本文】 本稿ではポケモンGOを利用した「地域興し・観光誘致は可能か?」という問題を考察する。地方自治体は、各地でポケモンGOのもつ知名度とユーザー数の多さを利用して、地域限定短期集中型イベントを行っている。筆者のフィールド調査と、ネットの記事…

吉武理大「離婚の世代間連鎖とそのメカニズム ―格差の再生産の視点から」『社会学評論』2019年, 70巻, 1号, p.27-42

【本文】 米国の家族研究では,親の離婚経験が,子どもの教育達成や社会経済的地位達成の不利,成人期の貧困や格差の再生産につながりうること,子ども自身の離婚という形で離婚の世代間連鎖が生じていることが明らかになっている.日本でも近年離婚を経験す…

鈴木鉄忠「惑星社会における「日常生活の網の目」の探究─“うごきそのものへ”にむけた方法論の検討─」『中央大学社会科学研究所年報』2017年, 21巻, pp.97-116

【本文】 This article tries to elaborate a methodological framework for understanding the potential for social movement in networks of everyday life. Based on the discussion of the “planetary society(” Melucci 1996) ⊖a society completely i…

伊藤守著『情動の社会学-ポストメディア時代における”ミクロ知覚”の探求』(2017)

情動の社会学 ―ポストメディア時代における“ミクロ知覚"の探求― 作者:伊藤守 発売日: 2017/10/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) 私たちはなぜ、感情に支配されてしまうのか。多様なコミュニケーションツールがあまねく浸透したポストメディア社会。そこ…

富永健一「産業主義の思想と戦後日本の社会」『社会学評論』2008年, 59巻, 1号, p.75-93

【本文】 1. 産業主義ないし産業社会という語は,サン-シモンが彼の思想のキイ・ワードとして作り出したもので,フランス革命(イギリス産業革命がこれに先行していた)後に建設されるべき,産業に基礎をおいた新しい社会体制を意味した.コントはサン-シモ…

入江由規「「ゲスト」へと変貌したオタクたち : アニメ聖地巡礼者の交流から」『フォーラム現代社会学』2014年, 13巻, p.58-70

【本文】 本稿の目的は、なぜ、アニメやゲーム、コミックの舞台を訪れる「聖地巡礼者」が、これまで「変わり者」と見なされることの多かった、アニメやゲーム、コミックを愛好するオタクであるにもかかわらず、それらに必ずしも関心のある訳ではない、作品の…

鹿島あゆこ「『時事漫画』にみる「サラリーマン」の誕生」『フォーラム現代社会学』2018年, 17巻, p.78-92

【本文】 サラリーマンという言葉の一般への普及は大正期から昭和初期といわれている。本稿の目的は、この普及に一役買ったといわれる『時事漫画』の検討を通じて、当該時期におけるサラリーマンイメージの形成と展開を明らかにすることである。『時事漫画』…

松田美佐「「遠征」をめぐる人間関係 ― Twitter上で親しくなる過程と社会的場面の切り分けを中心に―」『中央大学社会科学研究所年報』 2019年, 23巻, p.215-232

【本文】 This paper analyses the interviews of university students who engage in ‘Ensei (fan tourism)’, while focusing on their interpersonal relationships. These students mainly use Twitter to get information regarding events and their ti…

【書評】井上義和「中村牧子著『著名人輩出の地域差と中等教育機会――「日本近現代人物履歴事典」を読む』」『社会学評論』2019年, 70巻, 2号, p.164-166

【本文】 著名人輩出の地域差と中等教育機会 作者:中村 牧子 発売日: 2018/10/30 メディア: 単行本

【書評】木戸功評, 筒井淳也, 前田泰樹著『社会学入門――社会とのかかわり方』『社会学評論』2019年, 70巻, 2号, p.161-162

【本文】 社会学入門 -- 社会とのかかわり方 (有斐閣ストゥディア) 作者:筒井 淳也,前田 泰樹 発売日: 2017/10/26 メディア: 単行本(ソフトカバー)

立川雅司「分野別研究動向(人新世) ―人新世概念が社会学にもたらすもの―」『社会学評論』2019年, 70巻, 2号, p.146-160

【本文】 Bonneuil, Christophe and Fressoz, Jean Baptiste, 2013, L’événement anthropocène, Paris: Seuil.(野坂しおり訳,2018,『人新世とは何か――〈地球と人類の時代〉の思想史』青土社.) 人新世とは何か ―〈地球と人類の時代〉の思想史 作者:クリ…

中林春海, 水口崇「ファン心理やその活動と大学生の心理的健康の関係 : 現代社会におけるファナティックの様態と意義」『信州心理臨床紀要』2020年, 19巻, p.33-55

【本文】

服部恵典「ポルノグラフィ消費者によるジェンダー化されたジャンルの視聴と解釈 ―女性向けアダルトビデオを視聴するファンに着目して」『年報カルチュラル・スタディーズ』2020年, 8巻, p.35-57

【本文】 ポルノグラフィは、社会的にも社会学的にも議論の係争点であり、ジェンダーの平等が論点となる場合にはとりわけそれが際立つ。その端緒となる反ポルノ派フェミニストの理論が有する問題の1 つに、女性によるポルノの「見方」の多様性を狭めてしまう…

小形道正「ファッションを語る方法と課題 ー消費・身体・メディアを越えて」『社会学評論』2013年, 63巻, 4号, p.487-502

【本文】 現在ファッションに関する研究は, 複雑かつ多岐にわたる一方で, それら諸研究を綜合的な視座から論じる視点は, ほとんど提示されてこなかった. そこで本稿は, まずこれまでのファッション研究の方法論的視線を明らかにしたうえで, 今後の社会学的課…

園田茂人「食文化の変化にみる東アジアのグローバル化 ーアジアバロメーターのデータ分析から」『社会学評論』2009年, 60巻, 3号, p.396-414

【本文】 東アジアのグローバル化を論じる際に,文化,とくに食文化の変容に焦点が当てられるのは稀で,特定の料理がどのように受容されるにいたるかを研究した例は少なくないものの,各地でどのような食が好まれているかを分析した実証研究は皆無に等しい.…

江本紫織「能動的プロセスとしての写真 ーコンテクストに対する有機的関わりの点から」『映像学』2016年, 96巻, p.110-129

【本文】 これまで写真は、コンテクストやプロセスに対して受動的な位置付けを与えられてきた。その要因となってきたのは、撮影・呈示におけるコード化、観賞でのコンテクストによる意味の規定である。しかし誰もが写真の撮影者・呈示者・観者になり、それぞ…

河村裕樹「精神医療の社会学的記述にむけて ー参与者の志向に即した記述」『現代社会学理論研究』2019年, 13巻, p.83-95

【本文】 近年、精神医学的な知識や医療をめぐって大きな変化が生じている。ひとつには地域移行が、もうひとつには精神医療の参与者と精神医学的な知識とのかかわり方の変容があげられる。本稿ではこうした変容を受け、社会学は精神医療や精神医学的知識につ…

三田知実「衣料デザインのグローバルな研究開発拠点としての都市細街路 ―東京都渋谷区神宮前における住宅街からの変容過程―」『日本都市社会学会年報』2013年, 2013巻, 31号, p.61-76

【本文】 The purpose of this paper is to describe the process in which residential close alleys developed into the global hub for clothing design by using the case study of Jingu-mae, in Shibuya, Tokyo, and to discuss this transformation f…

毛塚和宏「個人主義の浸透は恋愛結婚の普及に寄与したか ー選好の進化アプローチによる説明」『社会学評論』2017年, 68巻, 2号, p.194-212

【本文】 本稿の目的は「個人主義の浸透により恋愛結婚が普及した」という個人主義仮説を, フォーマル・アプローチによって検討することで, 新たな理論的説明を提示することである. 個人主義仮説は, 「家」や「分」を重視するような集団主義的な人々は見合い…

平井秀幸「ポスト・リスクモデルの犯罪者処遇へ? (課題研究:犯罪社会学におけるリスク社会論の意義)」『犯罪社会学研究』2016年, 41巻, p.26-46

【本文】 理論犯罪学の伝統的理解では,規律から管理へと犯罪統制トレンドが変化するなかで,リスクは犯罪者処遇ではなく犯罪予防やリスク人口層の管理と結びつくようになっているとされる.しかし,そうした理解は経験的・理論的に見て必ずしも妥当なもので…

ネイト・シルバー著, 川添節子訳『シグナル&ノイズ -天才データアナリストの「予測学」』(2012=2013)

シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」 作者:ネイト・シルバー 発売日: 2013/11/28 メディア: 単行本 「私たちはシグナルを探そうとしてノイズを集めている」米大統領選で「オバマの勝利」を完璧に予測し、世界を騒然とさせた希代のデータアナリ…

田中智仁「万引きの被疑者に対するセレクティブ・サンクション ー文化的側面と保安警備業務に着目した考察」『犯罪社会学研究』2018年, 43巻, p.42-56

【本文】 2010年から全ての万引きが警察へ通報されることになったが,万引き対策には多様な価値観が反映されており,店舗内処理も残存している.本稿の目的は,万引き対策の歴史的変遷を概観し,文化的側面と保安警備業務に着目した上で,万引きに関する有識…

周[イ]生, 小泉國茂「冷蔵庫を事例とした日中間のグローバルリサイクルシステムの環境影響評価」『政策科学』立命館大学政策科学会, 2005年, 13巻, 1号, p.43-52

【本文】 アジアの経済発展と共に貿易構造の多角化が進み、消費国と生産国間の資源循環量が激増している。生産国で生産され、消 費国で廃棄物となった資源が、生産国に循環することによって新たな枯渇性資源採掘が抑制され、資源問題と環境問…