小説

陳楸帆(チェン・チウファン)著,中原尚哉訳『荒潮』(2013=2020)

荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:陳 楸帆早川書房Amazon

佐藤究著『テスカトリポカ』(2021)

テスカトリポカ (角川書店単行本) 作者:佐藤 究 KADOKAWA Amazon メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビ…

小林恭二著『ゼウスガーデン衰亡史』(1987)

ゼウスガーデン衰亡史 作者:小林恭二 株式会社シティブックス Amazon うらぶれた場末の遊園地、「下高井戸オリンピック遊戯場」は双子の天才、藤島宙一・宙二兄弟の卓越した経営手腕により急成長を遂げ、「ゼウスガーデン」と名を変えて、ありとあらゆる欲望…

アンドレス・バルバ著,宇野和美訳『きらめく共和国』(2017→2020)

きらめく共和国 作者:アンドレス・バルバ 東京創元社 Amazon 1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町サンクリストバルに、理解不能な言葉を話す子どもたちがどこからともなく現れた。彼らは物乞いをしたり盗みを働いたりして大人たちを不安に…

辻村深月著『かがみの弧城』(2017)

かがみの孤城 作者:辻村 深月 ポプラ社 Amazon 学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集めら…

アリ・スミス著,木原善彦訳『両方になる』(2014=2018)

両方になる (新潮クレスト・ブックス) 作者:スミス,アリ 新潮社 Amazon 十五世紀イタリアに生きたルネサンスの画家と、母を失ったばかりの二十一世紀のイギリスの少女。二人の物語は時空を超えて響き合い、男と女、絵と下絵、事実と虚構の境界をも鮮やかに塗…

道尾秀介著『龍神の雨』(2009→2012)

龍神の雨(新潮文庫) 作者:道尾秀介 新潮社 Amazon 添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母とささやかな生活を送る。蓮は継父の殺害計画を立てた。あの男は、妹を酷い目に遭わせたか…

小川哲著『ユートロニカのこちら側』(2015)

ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA) 作者:小川 哲 早川書房 Amazon 巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。その街では個人情報―視覚や聴覚、位置情報等全て―を提供して得られる報酬で、平均以上の豊かな生活が保証される。しかし、誰もが羨…

山岸真編『90年代SF傑作選 下』(2002)

山岸真編『90年代SF傑作選 下』(2002) 90年代SF傑作選〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) 早川書房 Amazon ネビュラ賞とローカス賞を受賞したビッスンの諷刺SF、カナダを代表する作家ソウヤーによる、シャーロック・ホームズのパスティーシュSF、論理のアクロバット…

佐々木敦著『それを小説と呼ぶ』(2020)

それを小説と呼ぶ 作者:佐々木敦 講談社 Amazon 「批評」の終幕、そして「小説」の到来。小説という問題、その思考の足跡をすべて刻む。『新しい小説のために』、『これは小説ではない』に続く、文芸批評家としての最後の主著。 第一章 方法序説第二章 世界…

『SFマガジン』6月号, Vol.62 No.745, 2021

SFマガジン 2021年 06 月号 異常論文特集 早川書房 Amazon 異常論文特集監修:樋口恭介柴田勝家の異常論文を読んだ樋口恭介が「異常論文アンソロジー読みてえ」とツイートし、それを読んだ異常編集者・塩澤快浩が「SFマガジンでお願いできますか? 特集で…

大森望,伴名練編『2010年代SF傑作選 2』(2020)

2010年代SF傑作選2 (ハヤカワ文庫JA) 発売日: 2020/02/06 メディア: 文庫 ハヤカワSFコンテストと創元SF短編賞という2つの新人賞が創設された2010年代。ジャンル外の文学賞でも評価される宮内悠介、高山羽根子、小川哲をはじめ、酉島伝法、柴田勝家、倉…

舞城王太郎著『煙か土か食い物』(2001)

煙か土か食い物 (講談社文庫) 作者:舞城王太郎 発売日: 2012/12/03 メディア: Kindle版 腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ…

宮内悠介著『彼女がエスパーだったころ』(2016→2018)

彼女がエスパーだったころ (講談社文庫) 作者:宮内悠介 発売日: 2018/04/13 メディア: Kindle版 スプーンなんて、曲がらなければよかったのに―。百匹目の猿、エスパー、オーギトミー、代替医療…人類の叡智=科学では捉えきれない超常現象を通して、人間は再発…

島本理生著『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』(2017)

わたしたちは銀のフォークと薬を手にして (幻冬舎文庫) 作者:島本 理生 発売日: 2020/04/08 メディア: 文庫 限られた時間。たった一度の出会い。特別じゃないわたしたちの、特別な日常。 蟹と、苺と金色の月 桜、生しらす、春の海 雨の映画館、焼き鳥、手を…

大森望編『SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録』(2017)

SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録 (早川書房) 発売日: 2017/06/30 メディア: Kindle版 2016年4月、書評家・翻訳家・SFアンソロジストの大森望を主任講師にむかえて開講した「ゲンロン大森望SF創作講座」。東浩紀、長谷敏司、冲方丁、藤井…

ジャレット・コベック著, 浅倉卓弥訳『くたばれインターネット』(2016=2019)

くたばれインターネット (ele-king books) 作者:ジャレット コベック 発売日: 2019/11/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) ビヨンセもレディー・ガガもマーク・ザッカーバーグもスティーヴ・ジョブスもだいきらい!21世紀にもっともやってはいけない唯一の…

藤井太洋著『ハロー・ワールド』(2018)

ハロー・ワールド (講談社文庫) 作者:藤井太洋 発売日: 2021/03/12 メディア: Kindle版 専門を持たない「何でも屋」エンジニアの文椎の武器は、ささやかなITテクニックと仕事仲間と正義感。郭瀬と汪の3人でチーム開発した、広告ブロッカーアプリ“ブランケン”…

舞城王太郎著『山ん中の獅見朋成雄』(2003→2005)

山ん中の獅見朋成雄 (講談社文庫) 作者:舞城王太郎 発売日: 2012/12/03 メディア: Kindle版 中学生の獅見朋成雄はオリンピックを目指せるほどの駿足だった。だが、肩から背中にかけて鬣のような毛が生えていた成雄は世間の注目を嫌い、より人間的であること…

今野敏著『棲月―隠蔽捜査7―』(2018)

棲月―隠蔽捜査7― (新潮文庫) 作者:今野 敏 発売日: 2020/07/29 メディア: 文庫 鉄道のシステムがダウン。都市銀行も同様の状況に陥る。社会インフラを揺るがす事態に事件の影を感じた竜崎は、独断で署員を動かした。続いて、非行少年の暴行殺害事件が発生す…

誉田哲也著『ストロベリーナイト』(2006→2008)

ストロベリーナイト 警部補 姫川玲子 (光文社文庫) 作者:誉田 哲也 発売日: 2009/11/27 メディア: Kindle版 溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わ…

村上龍著『どこにでもある場所とどこにもいないわたし』(2003)

どこにでもある場所とどこにもいない私 作者:村上 龍 発売日: 2003/04/24 メディア: 単行本 空港ロビー、居酒屋、コンビニ、公園、駅の自動改札……。日常の一瞬に、ふと去来する心の揺らぎ、意識の流れを描く八篇の本格短篇

佐藤友哉著『フリッカー式-鏡公彦にうってつけの殺人』(2001)

フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人 (講談社ノベルス) 作者:佐藤 友哉 発売日: 2001/07/06 メディア: 新書 妹が死んだ。自殺だった、と僕のイカれた家族は云うが。そして現れた男。手にはビデオ。内容は妹のレイプ中継。渡されたのはレイプ魔どもの愛娘…

ミシェル・ウエルベック著, 大塚桃訳『服従』(2015=2015)

服従 (河出文庫) 作者:ミシェル・ウエルベック 発売日: 2017/05/19 メディア: Kindle版 2022年仏大統領選。投票所テロや報道管制の中、極右国民戦線のマリーヌ・ルペンを破り、穏健イスラーム政権が誕生する。シャルリー・エブド事件当日に発売された新たな…

伊坂幸太郎著『終末のフール』(2006→2009)

終末のフール (集英社文庫) 作者:伊坂幸太郎 発売日: 2013/04/11 メディア: Kindle版 八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒ…

湊かなえ著『夜行観覧車』(2010)

夜行観覧車 (双葉文庫) 作者:湊かなえ 発売日: 2020/06/08 メディア: Kindle版 高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が…

岡嶋二人著『クラインの壺』(1989→2005)

クラインの壷 (講談社文庫) 作者:岡嶋二人 発売日: 2013/02/08 メディア: Kindle版 200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わ…

マーティン・ガードナー著, 高山宏訳『詳注アリス 完全決定版』(2015=2019)

詳注アリス 完全決定版 作者:マーティン・ガードナー,ルイス・キャロル 発売日: 2019/12/18 メディア: 単行本 キャロルの手紙や日記、歴史資料や学問的解釈etc…を駆使して付けられた、300以上の注釈を収録。これまで世界中の画家が描いてきた100枚以上の「ア…

新庄耕著『ニューカルマ』(2016)

ニューカルマ (集英社文庫) 作者:新庄耕 発売日: 2019/03/01 メディア: Kindle版 大手総合電機メーカーの関連会社に勤務するユウキ。かねてから噂されていたリストラが実施され、将来に不安を募らせる中、救いを求めた先はネットワークビジネスの世界だった…

安生正著『生存者ゼロ』(2013→2014)

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 作者:安生 正 発売日: 2014/02/06 メディア: 文庫 北海道根室半島沖に浮かぶ石油掘削基地で職員全員が無残な死体となって発見された。陸上自衛官三等陸佐の廻田と感染症学者の富樫らは、政府から被害拡大…