岡田温司著『映画と黙示録』(2019)

 

〈もしもこの世界に終わりがあるとしたら、それはいつごろどんな風にやってくるのだろうか。それを克明かつ想像力豊かに記したのが、紀元後一世紀の末に書かれたとされる『ヨハネの黙示録』である。西洋においてこの本は、今日に至るまで、宗教はもとより、思想や芸術のみならず、政治や社会全般にいたるまで計り知れない影響力をもってきた。(…)神が死んだとされる現代においても、黙示録的な想像力がとりわけ映画において脈々と生きつづけているとするなら、それは、映画というメディウム——「霊媒」という意味もある——そのものが、一種の世俗化された「宗教」に他ならないからである。映画とは、儀礼と物語と美学の三つが出会う場なのだ。〉

核による人類滅亡、宇宙戦争、他者としての宇宙人(異星人)の表象、救われる者と救われない者、9・11という虚実の転倒と終末映画、そして、コンピューターやロボット、AIに支配される社会…。ホラー、パニック、アクション、戦争、SF、ミステリー、フィルム・ノワールなど、約250作を取り上げ、原典があらわすイメージ・思想と今日の私たちとの影響関係を解き明かす、西洋美術史・思想史家の面目躍如たる一冊。
「起こりうること」「間近に迫っていること」にとらわれて生きる私たち人間は、黙示録的な世界の鑑賞を欲しているのだろうか?

ブロム/カーティス/モース/ワトキンス/ロンム/ワイズ/ホークス/シーゲル/ベルイマン/マルケル/ゴダールパゾリーニタルコフスキー/ベーラ/フライシャー/トランブル/ヴェンダース/ハネケ/キャメロン/ボイル/フォン・トリアー/バートン/レスター/マーフィー/カーペンター/ヒューズ兄弟/シャマラン/イニャリトゥ/ブロムカンプ/エドワーズ/ゴラック/ヴィルヌーヴ

序、あるいは世界に終わりは来るのか
第I章 核のアポカリプス
第II章 天使か悪魔か——エイリアンの正体
第III章 テイク・シェルター——現代のノアの箱舟
第IV章 9・11 ビフォー/アフター
第V章 終末を笑い飛ばせ——風刺とパロディ
第VI章 名監督たちのアポカリプス
おわりに

『ボディ・スナッチャー

福田和也,島田雅彦著『世紀末新マンザイ-パンク右翼vs. サヨク青二才』(1998)

 

「パンク右翼」福田と「サヨク青二才」島田。当代きっての評論家と小説家が、社会・政治・経済・文学・芸術・家政と様々な角度から世紀末日本の実情をユーモアを交え鋭く分析する。

1 階層性の再興は可能か
2 エロスの行方
3 20世紀芸術の運命
4 逸脱する家政
5 世紀末のナショナリズム
6 性悪ゆえの性善

 

6151,中野晴代,もろんのん著『インスタグラム商品写真の撮り方ガイド』(2019)

 

人気写真家が写し出す。SNSで魅せる&映える撮影テクニック教えます!写真の魔法で魅力を引き出す47のレシピ。

1 売れる商品写真の組み立て方(最初に考えるべき5つのステップ;売れる商品写真について考える ほか)

2 商品撮影の基本を知る(商品撮影で揃えたい基本の機材と正しい使い方;カメラ設定の基本を知る ほか)

3 パソコンで商品写真を美しく仕上げる(RAW現像の基本操作を知る;逆光のシーンをやわらかく仕上げる ほか);4 被写体別商品撮影テクニック(雑貨;アクセサリー ほか);5 スマホで商品写真を美しく仕上げる(デフォルトのカメラアプリで仕上げる;複数のアプリで写真を仕上げる ほか)

 

若江雅子著『膨張GAFAとの闘い-デジタル敗戦 霞ヶ関は何をしたのか』(2021)

若江雅子著『膨張GAFAとの闘

 

GAFAにデータと富が集中している。日本がそれを易々と許した一因に、にわかに信じがたい法制度の不備がある。国内企業に及ぶ規制が海外勢には及ばない「一国二制度」や、EUに比べて遥かに弱い競争法やプライバシー規制、イノベーションを阻害する時代遅れの業法……。霞が関周辺にはそれらに気づき、抗おうとした人々がいた。本書はその闘いの記録であり、また日本を一方的なデジタル敗戦に終わらせないための処方箋でもある。

はじめに―日本はなぜ海外プラットフォーマーにモノが言えないのか
第1部 侵食―「便利さ」の罠

 一国二制度―ヤフーの焦り;フェイスブックとグーグルはあなたのすべてを知っている ほか
第2部 始動―GAFA vs.霞が関

 “経産藩”と“公取藩”、犬猿の仲の末に;“総務藩”も動く―一国二制度を解消する電気通信事業法改正 ほか)
第3部 暗雲―ウォールド・ガーデンのゆくえ

 コロナ後の世界―「公益vs.プライバシー」への危惧;フェイクニュースの「流通革命」―ハックされる民主主義 ほか)
おわりに―日本はなぜGAFAを生み出せないのか

 

い-デジタル敗戦 霞ヶ関は何をしたのか』(2021)

ジャネット・オッペンハイム著,和田芳久訳『英国心霊主義の抬頭-ヴィクトリア・エドワード朝時代の社会精神史』(1985=1992)

 

動揺するキリスト教信仰に対し、魂の不死性を信じる心霊主義が登場! ブラバツキーをはじめクルックス、ウォレスら科学者も心霊研究を行った世紀末の大変動期の英国社会を追う。

日本語版への序
はじめに ヴィクトリア時代エドワード時代の英国

第Ⅰ部 舞台背景
 1章 主役は霊媒たち
    アマチュアとプロフェッショナル/優れた霊媒ダニエル・D・ホーム/
    若く美しい女性霊媒の出現/奇術かペテンか、心霊主義ブームの波紋
 2章 交霊会の会員たち
    政治家、弁護士、著述家:専門職の中流階級/勤勉なる労働者階級とオーウェン主義/
    心霊主義に関する出版ラッシュ/ロンドンに集う団体と協会の出現

第Ⅱ部 代用宗教
    「キリスト教の危機」と「唯物論への反感」
 3章 心霊主義キリスト教
    心霊主義は悪魔からの発信か/英国国教会キリスト教心霊主義
    教会の役割を問う/反キリスト教心霊主義の挑戦/「新しい天啓」を求める共通の基盤
 4章 心霊研究と不可知論
    宇宙の疑問符とシジウィックの知的探究/〈心霊研究協会(SPR)〉の先駆者たち/
    〈SPR〉初期の緊張関係/結論の出ない探究/すべての宗教の大前提
 5章 神智学とオカルト
    東洋の魅惑/心霊主義との親近性/H・P・ブラヴァツキーと〈SPR〉/
    著名な英国神智学者たち/マグダラのマリア/神智学という科学、宗教、哲学

第Ⅲ部 擬似科学
    「科学」であることの信用
 6章 心の概念を求めて
    心身問題/骨相学とメスメリズム/非正統のパートナー/   
    心理学と心霊研究の接近/心のひだを探るガーニーとマイヤーズ
 7章 進化という難問
    進化する脳・永遠の脳/『創造の自然史の痕跡』と「超・現世」/
    紳士と動物の間で:生理学者ロマーニズの信念/C・ダーウィンと交霊会/
    ウォレスの心霊主義信仰/キリンの首はなぜ長いのか/
    「人間の進化」と道のより高度な法則
 8章 物理学と心霊現象
    絶対性の終焉/開かれた心を持つ人々/高名な科学者にして心霊研究者/
    自然の謎に憧れ続けた生涯/バレットの「透視と読心術」研究/超越的自己が潜んでいる/
    魂の不死性を信じたロッジ/エーテルの宇宙とアインシュタインの科学