米澤泉著『「くらし」の時代ーファッションからライフスタイルへ』(2018)

 

人々はなぜ、「着る」ことに対する情熱を失い、「食べる」ことや「くらす」ことに価値を見いだし始めたのか。なぜ、ライフスタイルを重視するようになったのか。虚栄に満ちたファッション消費から、一見豊かで上質な「くらし」の消費へ。本書は人々を表層的にエシカルで正しい消費に導く「くらし」の時代であることを明らかにする。

はしがき

序 章 Jファッションの登場──「ユニクロでよくない?」
 1 Jファッションとは何か
 2 「Life Wear」としてのユニクロ
 3 本当にユニクロでよいのか?

第一章 なんとなく、エシカル──エシカルなファッション
 1 「ミセスオーガニックさん」って誰なんだ
 2 美──オーガニックコスメ
 3 衣──オーガニックコットン
 4 食──オーガニックフード
 5 エコロジーロハス
 6 なんとなく、エシカル

第二章 ヘルシーなファッション──スニーカー、ランニング、グランピング
 1 ウェディングドレスでもスニーカー──JJガールとコンバース
 2 走る女は美しい
 3 私をキャンプへ連れてって──限りなく都会的な「自然」生活

第三章 インテリジェントなファッション──本に囲まれて眠りたい
 1 本がいちばん「オシャレ」な時代──行列のできる本屋さん
 2 ブックテーマパークとしての蔦屋書店
 3 松丸本舗MUJI BOOKS
 4 「インテリしてる。」から「インテリアしてる。」へ──「家具の書籍」

第四章 ライフスタイルというファッション──ていねいなくらしという呪縛
 1 ライフスタイル誌の広がり
 2 『暮しの手帖』と二人の編集長
 3 ていねいなくらしという呪縛──くらしのきほんと「Life Wear」

終 章 「くらし」の時代──ファッションからライフスタイルへ
 1 『REAL SIMPLE JAPAN』はなぜ受け入れられなかったのか
 2 「くらし」の時代──ライフスタイル・ショッピング!
 3 「くらし」の時代において服を着るということ

あとがき
参考文献
索 引

 

山本圭著『現代民主主義ー指導者論から熟議、ポピュリズムまで』(2021)

 

二〇世紀以降、思想・理論ともにさらなる多様化が進む民主主義。本書は、政治学をはじめ、ウェーバー、シュミット、シュンペーターアーレントデリダ、ムフなどの思想から、その大きな潮流と意義を捉える。指導者や選挙による競争、市民参加、熟議/闘技、ポピュリズムといった多くの論点から、現代デモクラシー論の可能性に迫る。試行錯誤を繰り返してきた軌跡を通して、二一世紀の民主主義を模索する試み。

序章 民主主義の世紀
第1章 指導者と民主主義
第2章 競争と多元主義
第3章 参加民主主義
第4章 熟議と闘技
第5章 現代思想のなかの民主主義
終章 未来に手渡す遺産として

 

『早稲田文学 2021年秋号』「特集 ホラーのリアリティ」

 

座談会 

虚実の皮膜で恐怖する──実話怪談と心霊ドキュメンタリーの現在 / 佐々木敦寺内康太郎+吉田悠軌

「ホラゲ実況」はどこへいくのか?──VR、個人制作、スナックホラー / 市松寿ゞ謡+ガッチマン+甲賀流忍者ぽんぽこ+人生つみこ

アーカイブ

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随筆

禍話の裏話 / かぁなっき

実話怪談

実話の怪談 / 佐々木敦

創作

曼殊沙華 / 川奈まり子

小説

煙のように、光のように / ユキミ・オガワ【訳・解説=大滝瓶太】

ドキュメンタリー

強迫的パレイドリア、あるいは優しさの証明 / 三野新

論考

ノスタルジック・ホラー バックルームとコアの世界 / 廣田龍平

心霊スポットとゴーストツーリズム / 矢ケ﨑太洋

時空間のホラー 怪奇なアルゴリズムとぞっとする時差 / 大岩雄典

平行世界のゲートは開かれたのか 初期インターネット都市伝説の一側面 / 木澤佐登志

創作された怪異譚 ネットロア前夜 / 古山美佳

日本中世の幽霊と死体 / 小山聡子

幽霊画と女性 女の幽霊・再々考 / 田中貴子

「ホラーゲーム」の正しい怖がり方 恐怖とジャンルを再考する / 向江駿佑

現代ホラー小説鳥瞰 一九九三年を起点として / 朝宮運河

ホラー映画を作る/見る女性の視線と『ジェニファーズ・ボディ』(二〇〇九) / 鷲谷花

「となりの人は怖い」 ゾンビ映画における脅威の源泉 / 福田安佐子

母の恐怖、恐怖の母 ラフカディオ・ハーン「幽霊滝の伝説」を読む / 堀井一摩

亡霊の演劇と演劇の恐怖 /伊藤ゆかり

〈女性のゴシック〉/ 木村晶子

翻訳

怪奇なものとぞっとするもの(抄訳) / マーク・フィッシャー【訳・解説=大岩雄典】

ベスト3エッセイ

誘拐?追跡?偽物?──異端の心霊ビデオ3選 / ハスノミライ

SCP財団 / 橋本輝幸

怪談朗読VTuberのろいちゃん 怪談さんぽ3選 / のろいちゃん

Chillaʼs Artにとってのキーゲーム / Chillaʼs Art

お化け屋敷の過去・未来を語る / 岩名謙太

ホラー漫画はいつ輝く / 緑の五寸釘

近年のホラー映画の傾向と恐怖の対象の変化 / ミミカ・モーフ

ないと不安になるオカルト本3選 / 角由紀子

創作

白い壁、緑の扉 / 大滝瓶太

ライオンは寝ている / 古谷利裕

四年目の初の月命日8/8 第一回加賀乙彦文学賞受賞記念 / 岳真也

 

 

佐藤究著『テスカトリポカ』(2021)

 

メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。