倉田剛著『現代存在論講義 Ⅱ ―物質的対象・種・虚構』(2018)

 

現代存在論講義II 物質的対象・種・虚構

現代存在論講義II 物質的対象・種・虚構

 

目前の机のような「中間サイズの物質的対象」、生物・物質・人工物の「種」、現実世界と事物のあり方が異なる「可能世界」、小説のキャラクターといった「虚構的対象」について論じる、四つの講義を所収。

序 文
I巻のおさらい
II巻の内容について

第一講義 中間サイズの物質的対象
 1 物質的構成の問題
  1.1 二つの相反する直観
  1.2 粘土の塊と像
  1.3 ニヒリズムあるいは消去主義について
  1.4 像と粘土の塊との非同一性を擁護する
  1.5 構成関係の定義

 2 通時的同一性の問題─変化と同一性
  2.1 同一性とライプニッツの法則
  2.2 四次元主義
   Box 1 四次元主義と物質的構成の問題
  2.3 三次元主義
  2.4 通時的同一性の条件あるいは存続条件について

まとめ

第二講義 種に関する実在論
 1 種に関する実在論
  1.1 種についての直観
  1.2 普遍者としての種
   Box 2 種の個体説について
  1.3 性質と種(その一)─偶然的述定と本質的述定
  1.4 性質と種(その二)─述語の共有
  1.5 性質と種(その三)─タイプ的対象としての種
   Box 3 種の例化を表現する“is”は冗長ではない

 2 種と同一性
  2.1 数え上げ可能性
  2.2 種と同一性基準

 3 種と法則的一般化
  3.1 法則的言明
  3.2 種と規範性
   Box 4 HPC説と「自然種の一般理論」

 4 付録─種的論理について

まとめ

第三講義 可能世界と虚構主義
 1 様相概念と可能世界
  1.1 様相概念─可能性と必然性
  1.2 可能世界─様相文が真であるとはいかなることか
  1.3 付録─可能世界意味論の基本的アイディア

 2 様相の形而上学
  2.1 可能世界への量化と現実主義的実在論
  2.2 ルイス型実在論

 3 虚構主義
  3.1 反実在論としての様相虚構主義
  3.2 フィクションにおける「真理」とのアナロジー
  3.3 背景とメタ理論的考察
  3.4 虚構主義への反論1
  3.5 虚構主義への反論2

まとめ

第四講義 虚構的対象
 1 基本的構図
  1.1 実在論非実在論か
  1.2 虚構と真理
  1.3 記述の理論

 2 現代の実在論的理論
  2.1 マイノング主義(その1)─〈ある〉と〈存在する〉との区分
  2.2 マイノング主義(その2)─述定の区分および不完全性
   Box 5 非コミットメント型マイノング主義
  2.3 理論的対象説
   Box 6 虚構的対象についての虚構主義
  2.4 人工物説

まとめ

結語にかえて──イージー・アプローチと実践的制約

 

知念渉著『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す』(2018)

 

ヤンキーは何を考え、どのようにして大人になるのか――。高校で〈ヤンチャな子ら〉と3年間をともに過ごし、高校を中退/卒業してからも継続して話を聞いて、集団の内部の亀裂や、地域・学校・家族との軋轢、社会関係を駆使して生き抜く実際の姿を照らす。

序 章 〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィーに向けて
 1 巷にあふれる「ヤンキー語り」と調査の不在
 2 〈ヤンチャな子ら〉を調査・研究する意義
 3 本書の目的と独自性
 4 調査の概要
 5 本書の構成

第1章 ヤンキーはどのように語られてきたのか
 1 若者文化としてのヤンキー
 2 生徒文化としてのヤンキー
 3 階層文化としてのヤンキー
 4 これまでのヤンキー研究の課題
 5 分析の方針

第2章 〈ヤンチャな子ら〉の学校経験――教師との関係に着目して
 1 〈ヤンチャな子ら〉と教師の対立?
 2 学校文化の三つのレベル
 3 家庭の文化と学校文化の葛藤
 4 〈ヤンチャな子ら〉と教師の相互交渉
 5 教師への肯定的評価と学校からの離脱
 6 〈ヤンチャな子ら〉と「現場の教授学」

第3章 〈ヤンチャな子ら〉とは誰か――〈インキャラ〉という言葉に着目して
 1 集団の曖昧さ
 2 類型論的アプローチを超えて
 3 〈インキャラ〉という解釈枠組み
 4 文脈のなかの〈インキャラ〉
 5 〈インキャラ〉という解釈枠組みのゆらぎ?
 6 集団の内部の階層性

第4章 「貧困家族であること」のリアリティ
 1 「子ども・若者の貧困」研究における本章の位置づけ
 2 「記述の実践としての家族」という視点
 3 記述の実践としての「貧困家族」
 4 アイデンティティとしての家族経験

第5章 学校から労働市場
 1 〈ヤンチャな子ら〉の仕事への移行経路
 2 〈ヤンチャな子ら〉の移行経験――六人の語りから
 3 移行経路と社会的ネットワーク

終 章 〈ヤンチャな子ら〉の移行過程からみえてきたこと
 1 〈ヤンチャな子ら〉集団内部にある「社会的亀裂」
 2 重層的な力学のなかにヤンキーを位置づけた意義
 3 「ヤンキー」と括られる人々の内部に目を向けることの重要性
 4 アンダークラスとしてカテゴリー化することの危険性
 5 〈貧困の文化〉か、〈社会的孤立〉か
 6 社会関係の編み直しに向けて

本田『若者と仕事ー「学校経由の就職」を超えて』 

若者と仕事―「学校経由の就職」を超えて

若者と仕事―「学校経由の就職」を超えて

 

阿部『子どもの貧困ー日本の不公平を考える』

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

 

31 ヴァカン『ボディ&ソウルーある社会学者のボクシング・エスノグラフィー』

ボディ&ソウル: ある社会学者のボクシング・エスノグラフィー

ボディ&ソウル: ある社会学者のボクシング・エスノグラフィー

 

 32 柏木『子どもの貧困・不利・困難を超える学校ー行政・地域と学校がつながって実現する子ども支援』

子どもの貧困・不利・困難を越える学校―行政・地域と学校がつながって実現する子ども支援

子どもの貧困・不利・困難を越える学校―行政・地域と学校がつながって実現する子ども支援

 

65 乾『〈学校から仕事へ〉の変容と若者たちー個人化・アイデンティティ・コミュニティ』

“学校から仕事へ”の変容と若者たち―個人化・アイデンティティ・コミュニティ (AOKI教育LIBRARY)

“学校から仕事へ”の変容と若者たち―個人化・アイデンティティ・コミュニティ (AOKI教育LIBRARY)

 

 66 カートメル『若者と社会変容ーリスク社会を生きる』

若者と社会変容―リスク社会を生きる

若者と社会変容―リスク社会を生きる

  • 作者: アンディファーロング,フレッドカートメル,Andy Furlong,Fred Cartmel,乾彰夫,西村貴之,平塚眞樹,丸井妙子
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2009/11/01
  • メディア: 単行本
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 70 田野『都市に刻む軌跡ースケートボーダーのエスノグラフィー』

都市に刻む軌跡: スケートボーダーのエスノグラフィー

都市に刻む軌跡: スケートボーダーのエスノグラフィー

 

 71 廣田『若者文化をどうみるかー日本社会の具体的変動の中に若者文化を定位する』

若者文化をどうみるか?―日本社会の具体的変動の中に若者文化を定位する

若者文化をどうみるか?―日本社会の具体的変動の中に若者文化を定位する

 

72 石岡『ローカルボクサーと貧困世界ーマニラのボクシングジムにみる身体文化』 

ローカルボクサーと貧困世界―マニラのボクシングジムにみる身体文化

ローカルボクサーと貧困世界―マニラのボクシングジムにみる身体文化

 

 107 古賀『〈教えること〉のエスノグラフィーー「教育困難校」の構築過程』

OD>〈教えること〉のエスノグラフィー―「教育困難校」の構築過程 (認識と文化)

OD>〈教えること〉のエスノグラフィー―「教育困難校」の構築過程 (認識と文化)

 

 西田『排除する社会・排除に抗する学校』

排除する社会・排除に抗する学校

排除する社会・排除に抗する学校

 

 172 須長『ハゲを生きるー外見と男らしさの社会学

ハゲを生きる―外見と男らしさの社会学

ハゲを生きる―外見と男らしさの社会学

 

青砥『ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所』

ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書)

ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書)

 

乾『危機のなかの若者たちー教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』

 

北田暁大著『社会制作の方法』(2018)

 

社会学の重要課題であった「社会秩序はいかにして可能か」という問いは二つの方向に分かれていった。秩序の成り立ちをめぐる精緻な分析はhowの問いに還元され、秩序のwhatを問う分析は他分野に委ねられた。しかし、本来はwhatとhowの切り分け難さこそが社会学の根底にある。本書は理論的な構想力からたどり着きうる秩序の条件を描き出す。

序 「社会学の根本問題」と社会問題の社会学─whatとhowのあいだ
第Ⅰ部 過去制作の方法──出来事の構築
第1章 存在忘却?──二つの構築主義をめぐって
補論 ジェンダー構築主義
第2章 「構築されざるもの」の権利?──歴史的構築主義実在論
第3章 構築主義実在論の奇妙な結婚──ジョン・サール『社会的現実の構成』を読む
第4章 歴史的因果の構築──ウェーバーポパーの歴史方法論を中心に
第Ⅱ部 倫理制作の方法──責任と自由の構築
第5章 行為の責任を創り上げる──シュッツ動機論からルーマンの道徳理論への展開
第6章 「自由な人格」の制作方法──ウェーバーによる定言命法仮言命法
第7章 人間本性の構築主義文化左翼のプロジェクト──ローティとともにローティに抗う
第Ⅲ部 社会制作の方法──ルーマンをめぐって
第8章 他者論のルーマン
第9章 社会の討議──社会的装置としての熟議
第10章 社会の人権──基本的人権とは社会システムにとってなにか

 

柳下毅一郎著『殺人マニア宣言』(1998→2003)

 

殺人マニア宣言 (ちくま文庫)

殺人マニア宣言 (ちくま文庫)

 

シリアル・キラーの跡を追って、世界の殺人現場を歩き、猟奇文献を読み漁り、彼らの殺人衝動に想像をめぐらす。死体を切り裂き、人皮製の装飾品や頭蓋骨製スープ椀を作っていたエド・ゲイン、父親と継母を斧でめった打ちにしたリジー・ボーデン、22人を超える少年をレイプしてから絞め殺し、その肉を喰らい、さらに闇市で売りさばいてもいたフリッツ・ハールマン…。彼らの狂気に戦慄せよ。

第1章 巡礼の旅

 エド・ゲインのハート
 リジー・ボーデン斧とって
 紳士はロリータがお好き ほか
第2章 殺人を読む

 アメリカン・ドリーム―『サンドマン/ドールズ・ハウス』
 殺人者はわれわれの中にいる
 三本の「ロープ」―トム・ケイリン・インタビュー ほか
第3章 おかしな世界

 OJ裁判のこりない人々
 アメリカの喜劇
 アメリカのトークショーは命がけ ほか

 

小田中直樹著『フランス現代史』(2018)

 

フランス現代史 (岩波新書)

フランス現代史 (岩波新書)

 

1944年の解放から、「栄光の30年」、五月危機、石油危機、「ミッテランの実験」の挫折、新自由主義、そしてマクロン政権成立──フランスの戦後を通観すると、そこには「分裂と統合の弁証法」というダイナミックなメカニズムがみえてくる。欧州統合の動きにも着目しながら現代フランスの歩みをとらえる通史。

序章 分裂と統合の弁証法
第1章 解放と復興―一九四〇年代
第2章 統合欧州の盟主をめざして―一九五〇年代
第3章 近代化の光と影―一九六〇年代
第4章 戦後史の転換点―一九七〇年代
第5章 左翼政権の実験と挫折―一九八〇年代
第6章 停滞、動揺、模索―一九九〇年代
第7章 過去との断絶?―二〇〇〇年代
終章 その先へ

 

大澤聡著『教養主義のリハビリテーション』(2018)

 

教養主義のリハビリテーション (筑摩選書)

教養主義のリハビリテーション (筑摩選書)

 

教養が危機に瀕している。お手軽な本が氾濫し、歴史感覚の希薄化が進み、知の下方修正が止まらない。専門家の世界では知のタコツボ化が進み、他分野に無関心な研究者も少なくない。メディア環境が大きく変わるなか、教養主義のバージョンアップには何が必要なのか。気鋭の批評家が竹内洋吉見俊哉鷲田清一の諸氏と、教養主義の来歴、未来をめぐって対論。最終章で「来るべき教養」を展望する、比類なき書!

第1章 現代編 「現場的教養」の時代―鷲田清一×大澤聡

 リーダー・フレンドリー?
 日常のことばで考える
 パッシブにならない
 コミュニケーション圏の外へ
 タコツボ化と総合
 のっぺりした世界に歴史性を
 アートの新しい活用法
第2章 歴史編 日本型教養主義の来歴―竹内洋×大澤聡

 教養主義の起源をめぐって
 マルクス主義と日本主義
 文学部的なものの盛衰
 丸山眞男吉本隆明
 卓越化から平準化へ
 研究者の劣化スパイラル
 「上から目線」というけれど
 文化ポピュリズムの構造
第3章 制度編 大学と新しい教養―吉見俊哉×大澤聡

 「いま・ここ」を内破する知
 ジャンル混淆性の再帰的設計
 とある改革私案
 第三の大学の誕生?
 フレーム構築力を身につける
 専攻の二刀流主義を導入せよ
 エンサイクロペディアへの回帰
教養としてのアーカイブ活用
第4章 対話のあとで

 全体性への想像力について

 

H. L. A. ハート著, 長谷部恭男訳『法の概念[第3版]』(1961→2012=2014)

 

法の概念 第3版 (ちくま学芸文庫)

法の概念 第3版 (ちくま学芸文庫)

 

法とは何か。ルールの秩序という観念でこの難問に立ち向かい、法哲学の新たな地平を拓いた名著。批判に答える「後記」を含め、平明な新訳で送る。

第1章 執拗な問いかけ
第2章 法、指令、命令
第3章 法の多様性
第4章 主権者と臣民
第5章 一次ルール、二次ルールの組み合わせとしての法
第6章 法秩序の基礎
第7章 形式主義とルール懐疑主義
第8章 正義と道徳
第9章 法と道徳
第10章 国際法
後記